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暁斗は手のひらを、昴の頬からじんわり上へと撫でた。
頬からこめかみへ、こめかみから額へ。
そして朝に見た、跳ねた寝癖の跡をさらりとすくうと、露わになった昴の額に唇を軽く押し当てた。
すると途端に、弾かれたように昴は首をひねった。
「あ、暁斗は、さぁ! 家庭を持つ、って似合うよね。優しいお父さんになったり、するよね。きっと!」
無理に明るい声でそんな事を口にする昴が、暁斗はただ悲しくて嬉しくて。
もう何も言わないように、自分の胸に彼の頭を押し付けた。
体を被せて、強く抱きしめた。
しばらくは抵抗する素振りを見せていた昴だったが、次第に動かなくなり両腕をだらりと降ろしてしまった。
その手を取ると、暁斗は自分の頬に当てた。
熱い。
昴は、今日初めて暁斗の熱を肌で感じた。
こんなにも熱い彼の体を、受け止めた。
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