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 昴と共に朝を迎える関係になってから、暁斗はよくキッチンに立つようになった。  そして料理の腕前が、どんどん上がってきているのだ。  鼻歌交じりで卵を割った、その時。  ふと、ある考えが浮かんだ。 「大抵、新妻が嬉しそうに朝食の支度をするんじゃないのか?」  そうぼやいたが、すぐにその考えを改めた。  私と昴さまは、男性同士。  どちらが妻で、どちらが夫かの区別など、無いのだ。 「それに、時代にも合わない。パートナーは、協力し合って生活するものだ」  だがしかし。 「昴さまに、家事ができるのか……?」  暁斗には、トンデモ家事をやらかす昴の姿が、ハッキリと見えた。  オムレツを黒焦げにしたり、ランドリーに靴下とタオルを一緒に放り込んだり。  バスルームの掃除で派手に転んだり、ロボット掃除機の上に乗ってクルクル回ったり。 「いかん。とてもじゃないが、任せられない!」  では、私が家事を請け負うしかないな……。  一周廻って元の考えに戻って来た、暁斗だ。 「私は昴さまの、新妻になったんだな。そうか、そうなんだ」  それもまた良し、と暁斗は卵を火に掛けた。  甘い香りが漂い始め、寝室へと入って行った。  可愛い夫を起こすため、その鼻をくすぐりに、入って行った。

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