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(今夜、暁斗と……!)
久しぶりの逢瀬だ。
昴は部屋へ駆け足で戻ると、まずは寝室を整え始めた。
シーツを変えて、バラの匂いの香を焚く。
タペストリーも、季節にふさわしいものに替えよう。
ミネラルウォーターを冷やして……暁斗は、お酒の方がいいかな?
「そして、お風呂!」
昴は、ぱっぱと服を脱ぐと、バスルームへ飛び込んだ。
上質なソープで全身を清め、バラのエキスをたっぷり使ったバスタブに、首まで浸かった。
花びらで体をこすり、うがいで口も清めた。
「あぁ、気持ちよかった!」
髪を乾かしていると、ドアを叩く音がする。
「え? まさか、暁斗!?」
慌ててドアを開くと、果たしてそこには、暁斗が立っている。
「何で!? 速いよ、ちょっと!」
「……もう、日も暮れましたが?」
は、と気づくと、辺りはすっかり宵闇だ。
昴が掃除やお風呂に夢中になるうちに、時が過ぎてしまったのだ。
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