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「暁斗……まだ食べるの?」
昴の皿には、もう何も乗っていない。
少しすねたような声色と、悩ましげな眼差しだ。
これはしまった、と暁斗は反省した。
10日以上、ご無沙汰だったのだ。
(早く、お慰めしてあげなくては、な)
「昴さま、お風呂は使われましたか?」
「もう、済ませたよ。暁斗は?」
「私もこちらへ来る前に、シャワーなら浴びてきました」
それでもよろしいですか、と訊くと、汗臭くないなら大丈夫、と返ってきた。
(これは、相当に急いてらっしゃる)
「では、少し時刻は早いですが……寝所へ」
「うん。まぁ、別に構わないけど?」
急いているには、意地っ張りな昴の返事だ。
暁斗は、ちょっとした言葉遊びで、彼を優しく苛めてあげたい気持ちはあったが、やめた。
(これ以上引き延ばすと、爪で引っかかれそうだ)
苦笑しながら、暁斗は昴に連れられ、寝室へと入って行った。
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