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『一ヶ月以上、昴さまと会えずに淋しい思いをするのは、私も同じです』
「うんうん、解かってるって」
『ですが、大切な勉強なのです。嫌でも、行かねばなりません』
「それなら、仕方がないよね」
『おみやげを、たくさん買ってきますから。良い子で待っていてください』
「僕はいつでも、良い子だよ」
暁斗のいなくなった屋敷で、昴は彼の言葉を思い出し、それに応えることで精神の均衡を保っていた。
だがしかし。
『一ヶ月以上、昴さまと会えずに淋しい思いをするのは、私も同じです』
「同じじゃない! 僕の方が淋しい!」
『ですが、大切な勉強なのです。嫌でも、行かねばなりません』
「嫌なら、行かなきゃいいじゃん!」
『おみやげを、たくさん買ってきますから。良い子で待っていてください』
「おみやげ要らないから、早く帰ってきてよ!」
こんな具合に、たった一週間で破たんしていた。
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