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(とにかく、僕が暁斗を好きだ、って気づかれないようにしなきゃ!)  ぎくしゃくと、昴は歩き始めた。  古川も、それに続く。 「心が晴れない時には、体を動かすに限ります。こうやって散策するだけでも、ずいぶん違います」 「そう?」 「特に昴さまは、この花園の恩人です。花々も喜んで、あなた様を慰めましょう」  花園の恩人、などと褒められては、昴も悪い気はしない。  歩きながら、その日は古川といろいろな話をした。 『そして、暁斗がね……』 『暁斗は、違うんだ……』 『やっぱり、暁斗は……』  うかつにも、暁斗のことばかり話題にする、昴だ。  しかも『柏』ではなく、『暁斗』と名で呼んでいる。  これで古川は、昴の暁斗に対する想いを、確信した。 (昴さまは、間違いなく柏を愛しておられるんだ)  そんな昴は、彼の胸の内に全く気付かず、さっぱりした顔つきになっていた。  不思議なことに、心持ちも軽くなった。 「ありがとう、古川。僕は、もう行くから」 「御心は、晴れましたでしょうか?」 「うん。今夜は、ちゃんと眠れそうだよ」 「それは、ようございました」  にっこりと微笑む古川の顔つきは、どこか暁斗に似ている。  久々に明るい気持ちで、昴は自室へと戻った。  だがしかし。

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