168 / 226
9
(どうして!? 力が出ない!)
いや、力が出ないというより、体が動かないのだ。
(指一本、動かせないなんて!?)
必死で抗う昴に、気味の悪いほど優しい声が掛けられた。
「安心してください、昴さま。全て、私に任せて」
「ヤだ。嫌ぁ!」
「美しい体だ」
「嫌、いや。暁斗……助けて!」
しかし古川の責めには、どこか馴染みのある癖が見られた。
(あぁ、ヤだッ! 乳首、舐められちゃう!)
舌先で軽く舐め、その後に甘く歯を立てる仕草。
(え? ……その後は、もしかして!?)
きつく吸い、たっぷりと唾液を絡めて舐めとる愛撫。
(暁斗と、同じ!?)
なぜか古川は、暁斗と同じ床癖を持っているのだ。
(ど、どうして!?)
昴の頭は混乱する一方だが、体の方は甘い悲鳴を上げ始めていた。
ともだちにシェアしよう!

