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「嘘。もうヤだ……」  シーツに染み付いたものからは、かすかに青い香りが漂ってくる。 (夢の中で、暁斗以外の人に抱かれて。それでも感じて、漏らしちゃうなんて)  のろのろと、パジャマを脱いだ。  汚れたシーツも丸めて、ぺたぺたと裸足でバスルームへ向かった。 「どうやって、洗えばいいんだろ。お湯だったら、取れなくなるのかな……」  使用人に任せるには、恥ずかしさが先に立つ。  ランドリーに放り込む前に、昴はシーツの大きな汚れを落とすことにした。  冷たい水を使って、手洗いで体液を洗い流す。  そうしながら、昴は思った。 「せめて、夢に暁斗が出てくれれば良かったのに」 (僕、夢の中だけど浮気しちゃったよ) 「ごめんね、暁斗。ごめん……ね……」  ぽろぽろと、涙がこぼれた。  情けなくて、悲しくて、涙がこぼれた。  昴が溢れる涙をぬぐっていると、ドアの方から物音が聞こえる。 「だ、誰だ?」  まさか、悪夢が正夢に!?  

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