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「実は。私は来月の10日に、渡航することになっています」
「えっ……?」
「結論から申し上げますと。昴さま、あなたに御同行いただきたいのです」
「えぇッ!?」
昴は驚き、慌てたが、暁斗が語る未来のヴィジョンを聞くうちに、落ち着きを取り戻していった。
以前の彼なら、あまりに朗らかすぎる予定予想に、茶々を入れるところだ。
『そう、巧くいくかなぁ? 世の中そんなに、甘くないよ?』
こんな風に。
だが、今の昴は。
7回目の恋をしている昴は、ちゃんと暁斗の話しに耳を傾けた。
喜びを噛みしめると同時に、冷静な手立てを考えていた。
(暁斗の夢、叶えてあげたい。僕も一緒に、暁斗と歩みたい)
この夢を、二人のものにするには、どうすべきか。
(僕に、できることは? 僕が暁斗に、してあげられることは?)
暁斗は真剣に話し、昴もまた真剣に聞いていた。
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