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「そうね。まず、お茶でもどう?」 「ありがとうございます」  ひとつ息を吐き、暁斗は白磁のティーカップから、濃いオレンジ色の紅茶をいただいた。  正直、ありがたい。 (喉がカラカラだ)  紅茶はとても美味しく、滋養が全身に染みわたるようだ。  そこで時子が、口を開いた。 「柏、そのお茶を説明できるかしら?」  本題から大きく外れた質問を、怪訝に感じた暁斗だが、すぐに答えた。 「クオリティシーズンの、ウバです」 「お味は、いかが?」 「爽やかな香りと、キレのよい渋味。芳醇な味わいが、とても魅力的です」  このような良いお茶をご馳走になり恐縮です、との暁斗の返答に、時子は笑顔を見せた。 「満点のお答えね。さすがは、海外のアカデミーへ留学するだけのことはあるわ」  ありがとうございます、と暁斗が頭を下げようとしたその時、彼女は少し声を張った。 「あなたも、そうお思いでしょう? 英樹(ひでき)さん」  ギョッとした暁斗が振り向くと、そこには藤原家の当主であり、昴の父・英樹が立っていた。

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