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「暁斗が、お母様に!?」
「はい。昴さまとの仲を認めていただこうと、説得に行ったのです」
昴はうつむき、唇を強く噛んだ。
「僕が。僕が、早くお話しできなかったから……!」
ご機嫌をうかがったりして、先延ばしにしなければ、こんな事態にならなかったのに。
「暁斗が……僕のせいで……!」
悔やむ昴を、古川はなだめた。
「お待ちください。まだ、良くない結果に終わったとは限りません」
「えっ?」
「柏が時子さまのお部屋へ入ってから、すでに20分以上経っています」
「そんなに長く?」
「はい。時子さまは時間をかけて、きちんと話し合われていると思われます」
そこで、と古川は昴の手を取って駆け出した。
「急いでください、昴さま!」
「え! え!?」
「柏の説得に、昴さまが加われば。きっと、きっと道は開けます!」
「そうか……そうだね!」
昴は、古川と共に急いで走った。
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