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「さて。明日は早起きをして、片付けものや荷造りがあります。ですから、今夜のエッチはお預けです」
「わぁ! 暁斗の口から『エッチ』とか出た!?」
冗談です、と笑いながら、暁斗は昴の傍に腰掛けた。
昴は彼の肩に頭を預け、静かに瞼を伏せた。
それと同じくらい静かに、ささやいた。
「何だろう。とっても、穏やかな気持ちだよ」
以前の昴なら、しばらく会えなくなるのだから、肌を合わせたい、とわがままを言うところだ。
そんな昴の手に、暁斗は指を絡ませて、そっと握った。
「暁斗の手、あったかいな……」
瞼を閉じたまま、昴は安らかな時に身を任せた。
「昴さま。愛しています」
「ありがとう、暁斗。僕も、愛してるよ……」
滅多に聞くことのない、暁斗のストレートな愛情表現も、昴は胸にじんわりと染み込ませた。
もう、驚いたりしない。
たとえ彼らしくない言葉でも、それは昴の心に真っ直ぐに伝わってくる。
「空港まで、絶対に見送りに行くね」
「ありがとうございます。でも……」
「でも?」
「そうなると、離れがたくなりますね」
飛行機が、このまま飛ばなければいいのに、と思ってしまいます。
そんな暁斗のジョークも、昴の耳に心地いい。
暁斗の旅立ちの日まで、あとわずか。
しばしの別れを、二人は惜しんだ。
もたれ合い、優しい言葉を交わしながら、惜しんだ。
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