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 昴の前に突然現れた、謎の男性。  彼は、名乗った。 「私の名は、ロキ。冥界への水先案内人だ」 「……あっ!」  昴は、ロキの名と共に、全てを思い出した。  僕はこの後、事故に遭って命を落とすんだ。  そして、暁斗への未練から、何度もタイムリープを繰り返していた。 「私が古川くんに憑依して、最後に甘い誘惑を仕掛けたけど。君は、よく我慢したね」 『昴さま、まだ時間はございます』 『今からなら、13時15分に間に合います。空港で、柏に会えますよ』 『理由を話せば、解ってくれる御方です。大野原さまは』 「あれは、ロキが僕を試そうとしたんだね」 「意地悪なことをして、ごめん。最後の、運命分岐点だったんだ」  でも、もう大丈夫、とロキは満面の笑顔を見せた。  冥界の審判者たちも、昴を認めたのだ。  彼に、今後の未来を歩むことを、許したのだ。

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