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欲しいなら自分から行けよ
「……光貴さんにも、気持ちよくなってもらわなきゃ。ね?」
囁くような声でそう言って、あおいが顔を近づけた。
「あ、いや俺はっ……あっ……」
戸惑うように言葉を探していた光貴の声が、
そのまま喉の奥でかき消える。
ゆっくりと包皮を下ろすと、桃色の先端が恥ずかしそうに顔を出した。
まるで無垢な生き物のようで思わず愛しさが込み上げる。
「……いただきまふ、んぢゅっ……」
あおいは小さな口をぱかっと開くと、一気に光貴の分身を迎え入れた。
「ん……っ、く……」
あおいのぬるりと温かい口内に包まれて
光貴は過ぎる快感に、奥歯を噛みしめて声を押し殺す。
あおいはその反応に嬉しくなって舌を器用に使いながら高貴の分身をさらに刺激する。
時折じゅぶっじゅぶっと音を立てながら奥まで咥え込み、時折口を離して先端を舌先でくすぐるように舐める。
ビクビクと脈打つ感触が舌に伝わるたびに、あおいの身体の奥にも、ふつふつと熱がこもっていく。
あおいはそっと指先を自身の後孔に滑り込ませる。柔らかな入口をくるりとなぞるように触れると、そのままゆっくりと1本、2本と中へ忍ばせる。
「っ……んっ……」
小さな刺激に背筋がぞくっとする感覚に身悶えする。
「あおいさんっ……ちょ……そろそろヤバっ……」
光貴の分身はあおいの口内で硬度を増して大きくなっていく。
あおいの頭に添えられた手にグッと力が入った。
(……んっ、そろそろ、かな)
あおいはじゅぱっ、と音を立て光貴のものから唇を離した。
その瞬間、ぷつりと銀色の糸が先端と口元をつなぎ、いやらしく垂れ落ちる。
「は、ぁ……っ、はっ……」
熱に浮かされたような荒い呼吸を繰り返しながら、光貴があおいを見つめた。
大きな快感が急に断たれた戸惑いが、その目に色濃く滲んでいる。
光貴の分身に頬をそっと寄せ、まるで囁くように愛おしげな声を落とした。
「……光貴さんのペニス……気持ちよくなってくれて、うれしい」
あおいがそっと囁いた瞬間、光貴の喉がかすかに鳴った。
小さく息を呑むその姿が、なんともいじらしく見える。
「ねぇ……もう、出したいですか?」
誘うような声に、光貴はほとんど反射のように、熱を帯びた声がこぼれる。
「……っ、出し……たい……あっ……!」
その声を最後まで待たずに、あおいはそっと自分の胸元に、光貴の熱を導いた。
ぷつりと小さく立ち上がった乳首に、ぬるりと柔らかな先端を擦り合わせる。
ごく控えめな凹凸に触れた瞬間、光貴の腰がびくりと震えた。
「あ、ふっ……ん……」
あおいもまた、思わず熱を含んだ吐息を漏らす。
擦れるたび、そこにじんわりと快感が灯って、胸の奥まで痺れるようだった。
光貴はもう、限界だった。
あおいの淫らな仕草に当てられて、理性の皮などとうに剥がれ落ちている。
欲望が今にも暴れ出しそうに疼いて、解放される瞬間をただ、待っていた。
そんな光貴を見つめながら、あおいはとろけるように微笑んだ。
満ち足りた、獲物を手にした捕食者のような顔で。
「うん、高貴さんにはいっぱい出してほしいの。だからっ」
そう言いながら、あおいはゆっくりと上体を起こす。
そしてそのまま光貴を押し倒し、やわらかく腰にまたがった。
視線が交わる。
そして――
「出すなら、ぜんぶ僕の中で出してね……っ!」
「ちょ、ちょっと待っ……あっ!」
我に帰って慌てる光貴の声を遮るように、
あおいはベッド脇に用意していたコンドームを手に取った。
そして素早く光貴のものへと装着しゆっくり腰を下ろしながら飲み込んでいく。
「んっ……!んんっ!あ、うんっ……!はいっ、たぁ!」
「くぅぅっ……!」
ペニスはずっぽり根本から包み込まれ、光貴は今までに味わったことがない締め付けと暖かさに声を漏らしてしまう。
あおいは、そんな光貴を見下ろしながら、そっと微笑んだ。
頬はほんのりと紅潮し、額には汗ばむ髪がしなだれている。
手早く後孔を慣らしただけだったが、光貴の慎ましいサイズのペニスはあおいの奥にじんわりと馴染んだ。
「僕が、動くから……光貴さんは、ちゃんと見ててね」
そう言って、あおいはゆっくりと腰を上下に動かし始める。
たんっ、たんっ、たんっと肌と肌が重なるたび、濡れた音が室内にリズムのように響く。
「んっ……あっ、あんっ……! すご……光貴さんの……っ、気持ちいいの……」
小さく喘ぎながら、あおいは首を反らせた。
あらわになった喉元が、濡れた吐息に震えて、ひどく艶めいて見える。
「……っ!それほんと?俺の、ちゃんと気持ちいいとこ、届いてる?」
「うんっ!ちゃんとゴリゴリ、きてる……っ」
確かにペニスは決して大きくない。けれど、その分だけ――固く、まっすぐで、あおいの敏感なところを執拗に捉えていた。
快感の波が、じわじわとあおいの身体を満たしていく。
「あんっ!ねぇ、ずっと、中にいてほしい……っ、お願い……っ」
下腹部をさすりながらそう囁くあおいに、
光貴の奥がびくんと反応し、全身が大きく跳ねる。
「はっ……く、あ……ああ、っ……!」
耐えきれない吐息が喉の奥からこぼれた。
次の瞬間――堰を切ったように、熱が注がれる。
コンドーム越しにも伝わる温度に、あおいはうっとりと目を細めた。
「……ふふっ。ぜんぶ、出たぁ」
満ち足りた息を吐きながら、あおいは笑った。
熱にとろんと溶けた瞳の奥に、ほんのひとさじの――勝ち誇った色を浮かべて。
見たこともない、光貴の“元カノたち”の顔が、あおいの脳裏をかすめる。
きっと皆、途中で逃げられて、泣き喚いたことだろう。
でも、それじゃダメダメ。
本気で欲しいなら、自分から奪いに行かなくちゃ――
「嬉しい……光貴さんの“はじめて”全部、僕がもらっちゃった……!」
その無邪気な様子に、光貴の理性は一瞬で焼き切れた。
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