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2回目と安らぎと 3
ベッドに腰をかけると、久我先生は早速と一枚の紙を見せてくれた。
「これがお話していた目標です。今日は二回目の治療だったので──ここですね。全身のマッサージまで達成してますよ」
「……」
じっと紙を見つめていると、三回目の治療から少し体が強ばるような内容が書かれていた。
「……さ、三回目、からは……」
「もう少し進むと体の内側から温めていくことになりますが……三回目はその準備段階です。ただ、これはあくまで目標であって、神木さんのペースで進めていく予定だから、安心してね」
三回目には『性器への刺激』とある。
「内容を詳しく説明すると……、性器に触れて、刺激を行います。そうしてオーガズムを得ることで脳内ホルモンが分泌されるので、それを利用して体温調節機能を回復させていきます」
「……」
「痛いことはしません。ただ気持ちいいという感覚だけを感じてほしい」
そう言われても、少し怖かった。
二十一歳。立派な成人なのだけれど、これまで誰かと付き合ったことはおろか、性行為をしたこともない。
「あ、あの……他の患者さんも、みんな、してますか」
「してますよ。そうして治していくからね」
「……治療は、先生と佐伯さんしか、しませんか……? 他の先生や、看護師さんは、いない?」
そう聞けば彼らはコクリ頷いた。
「私達だけです。……ただ、どうしても人手が必要になった場合は、他の看護師に補助してもらう形になりますが、その時は必ず事前にお話します」
「……」
「それだけでなく、何か変更があった場合も先にお伝えするので、ご安心くださいね」
どちらにせよ、次回はその心配はないということだ。
それなら、まだ大丈夫な気がする。
久我先生と佐伯さんだけなら。
「……わ、わかりました。明日からも、頑張ります」
「少しずつですよ。無理は禁物なのでね。……明日続けて施術をしてもいいですし、今日はたくさん頑張ったので、明日はお休みしたって大丈夫です」
「……」
そう言ってくれる先生だけれど、明日休んでしまっては次の治療に臨みにくくなる気がする。
「……大丈夫、です。明日も、頑張ります」
「……では明日の朝、お薬を出すので朝食後に飲んでくださいね。体をリラックスさせる薬です」
「緊張が、とけるような……?」
「そうですよ。緊張で固まってしまっては、気持ちいいこともそう感じられないかもしれませんからね」
まだ不安だ。けれど、進まなければ治らない。
久我先生に優しく微笑まれる。
ザワつく胸。慣れない感覚が少し気持ち悪いが、フッと短く息を吐いて、ひとつ頷いた。
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