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3回目の恥ずかしさ 1※
朝、朝食とともに出されたのは錠剤だった。
食後にこれを飲んで、ゆっくりしていてほしいとのことで、説明をする佐伯さんをチラッと盗み見る。
「……これ、リラックスするだけで、他には、何も無いです、よね?」
「ありませんよ。もしかすると眠たくなっちゃうかもしれないけど、それはリラックスできているってことなので、安心してくださいね」
「……わかりました」
また迎えに来ます、と言った彼の背中を見送り、静かにご飯を食べる。
まだ味は分からないが、食べられるので多分美味しい。
これがちゃんとわかるようになるには、どれだけの日数がかかるのだろうか。
年単位ではないことを祈るしかない。
何とか全てを食べ切り、最後に薬を飲み込んだ。
そうしてすぐに寝転がり、ぼんやりと天井を眺める。
リラックスできる薬。本当に効くのだろうか。
少し疑っていたのだが、ある時突然佐伯さんの顔が視界に映り込んで「あれ……」と声を漏らした。
「お薬、よく効いてるみたいですね。体起こしますよ」
いつの間に入ってきたんだろう。
体を起こされて、車椅子に座らされると、すぐに処置室に移動した。
眠たいというよりも、頭に少し霧がかかったような、そんな感覚だ。
処置台に寝かされると、腰を固定された。
毛布を体に掛けられ、トントンと肩を叩かれる。
「神木さーん。今から、いつも通り、胸辺りに機械を貼らせてもらいますね。それから下着類を取っていきます。治療が始まるまでは毛布で隠れてますからね」
「……? はい」
「先生が来たら、まずは昨日のように軽く手足を触りますよ。また声を掛けますね」
「……」
あまり説明が頭に入ってこなかったけれど、嫌なことは言われてなかったはず。
ペタペタと胸元に貼られていくいつもの機械。それから、下半身でゴソゴソされているけれど、まるで他人事のように感じた。
「あ、先生」
「準備できてる?」
「はい」
「薬はどれくらい効いてる感じ?」
「結構効いてるようです。下着を取った時もあまり反応ありませんでした」
「そう」
あ、久我先生の声だ。
それに気付いて視線を彷徨わせていると、先生の顔が突然視界に入ってきた。
「神木さーん、おはようございます。お薬、いい感じに効いてるね」
「……おはよう、ございます……」
「治療始めていくよ。手に触るね」
ふわっと手に触れる体温。
これは昨日も、一昨日も感じたもので、もう怖いとは思わない。
それどころかあたたかさにホッとして、つい、無意識にその手を握っていた。
「上手です。あたたかいね」
「……ん、せんせ……」
「大丈夫だよ。次は足に触るね」
先生と手を繋いだまま、佐伯さんに触れられる足。
それも知っている温度で、怖くはない。
どれくらいそれを続けていたのか、ある時先生の顔が再び視界に入って、ぼんやりと彼を見つめた。
「今から性器に触れるよ。痛くないからね」
「……ん」
「怖いこともないよ。大丈夫だよ」
久我先生はいつも通りの優しい声で話しながら、けれどどこか慎重な目つきでこちらを見ていた。
先生の声をボーッと聞いていると、不意に触れられた陰茎に腰が跳ねる。
けれど固定されているので、ガタッと処置台が音を立てただけだった。
「続けるよ。射精しそうになっても我慢しないでね」
「ふ……ぁ、あ、先生……」
「大丈夫、手を握ってようね」
シュッシュッと優しくそこを刺激される。
気持ちいいのが広がっていく。
「ぅ……ぁ、ぁ……」
「声も我慢しなくていいですよ。何も恥ずかしくないよ」
「ぁ、ゃ、ン……ッ」
上手く思考がまとまらない。
今、これは、なんだっけ。何をされているんだっけ。
口から、声が漏れていく。
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