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予想外の治療 1※
翌朝。食事とともに出された薬をみて、ふむ、と少し考える。
昨日より量を少なくしていると佐伯さんからも話があって、少しホッとしたのだが、量を少なくしたことで先生たちに迷惑をかけてしまったら嫌だなと、思ってしまったのだ。
「佐伯さん」
「はい、どうしました?」
「薬、量を減らしたら、昨日よりは効果は無いと思うんですけど……もし、僕が嫌だって言い出しても、あの……止めないでくださいね」
そう言うと、佐伯さんは困ったように眉を八の字に下げた。
「……んー、それは時と場合によりますね。どうしても中断したくないのであれば、治療中でもお薬は足すことができますよ」
「そうしてください」
「では、先生に伝えておきますね」
「ありがとうございます」
佐伯さんはそうして病室を出ていき、僕はというと食事を始めた。
昨日より、少し味が薄く感じる。
これはやはり、治療の効果がそこまで持続していないということだろうか。
ずっと続けていけば、効果の持続時間も長くなるのか。
全てを食べ終えて、最後に薬を飲む。
ふぅ、と息を吐いてベッドに寝転がり、佐伯さんが迎えに来るのを待った。
◇
昨日よりも、意識がはっきりしている。
佐伯さんがドアをノックした音も聞こえたし、返事もできた。
自分で車椅子に座って、処置室に行くと、そこにはすでに久我先生が。
「神木さん、おはようございます」
「……おはよう、ございます」
少しぼんやりとする。
けれどちゃんと挨拶を返すと、先生は同じ目線の高さになるようにしゃがんでくれた。
「佐伯から聞きました。途中で『嫌だ』と言っても止めないでほしいと」
「……はい」
「その場合は、一度は止まって意志を確認します。やっぱり嫌だったら、そこで終了して、もしもまだ頑張れるのであれば、薬を追加しましょう。どうですか?」
うんうん、と頷くと先生はニッコリ微笑んでくれた。
「じゃあ処置台に移動しますね。失礼します」
「わっ、」
両脇に手を入れられ、久我先生によって処置台に移動させられる。
「下着を取りますね。毛布かけるので恥ずかしくないですよ」
佐伯さんに下履を取られ、代わりに毛布がかけられる。そうしていつものように腰を固定された。
「昨日は途中で足を固定したんですが、今日は初めから固定してても大丈夫かな?」
「ぁ……」
「嫌ならしないよ」
「……。大丈夫……です」
足を動かしてしまったらきっと、施術の邪魔になるのだろう。
それは不本意なので了承すれば足も左右それぞれ固定される。
「手は、固定しないけど、昨日と同じで、何かあれば手を繋いだり、少し抑えさせてもらうかもしれません。大丈夫かな?」
「はい」
ドッドッと心臓が激しく音を立て始めた。
ペタペタと胸あたりにつけられるのは、いつものシールのようなもの。
「じゃあ始めます。嫌になったら我慢せずに教えてね」
静かに頷くと、まずは手と足に触れられた。
これは今までと同じ。それから頭に、お腹。あたたかいのがじんわりと広がっていく。
「じゃあ、性器に触れるよ。我慢せずに射精してね」
「っぅ、は、はい……」
毛布が取られ、あたたかい手がそこに触れる。
ビクッと震えた僕の肩を佐伯さんが宥めるようにトントンと優しく叩いた。
「ぅ、ぁ、」
「上手上手。力抜いて、リラックスしましょうね」
「っふ、ふぅ……は、せんせ、」
「大丈夫だよ」
ゆっくりと痛みを与えないように優しく扱かれて、足を動かしたくなるけれど、固定されているのでそれができない。
「はぁ、ぁ、ぅ……」
「神木さん、少し胸に触ってもいいかな?」
「む、むね……?」
「うん。気持ちよくなるだけだよ」
良く、分からなかったけれど頷いた。
痛いことじゃないなら、耐えられると思って。
前開きの服。紐を解かれて機械が貼り付けられている胸が露になる。
佐伯さんが頭上にやってくると、穏やかに微笑んだ。
「胸に触りますね」
「っ、」
「大丈夫ですよ。痛くありませんからね」
そういった彼は本当に優しく胸に触れて、全体を優しく包むように揉んだ後、乳首に触れてきた。
「ひっ!」
「深呼吸しましょうね。力を抜いて」
「は、はぁ……っ、ぁ、」
指先が触れるか触れないか、いわゆるフェザータッチで優しく優しく乳首を撫でられる。
腰のあたりがずくんと重たくなる。
『気持ちいい』が頭を満たしていく。
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