23 / 31
予想外の治療 2※
『上手』『えらい』
そんな言葉をかけられながら快楽に身を委ねていく。
「……あまり反応が良くないね」
「ぅ、ぁ、」
「先生、どうしますか」
「んー……ここ以外で絶頂を得るのが一番効率がいいんだけど……」
先生と久我さんの会話があまり入ってこない。
快楽と薬のせいで少しぼんやりとしていると、トントンと肩を叩かれた。
「神木さん、今日の治療なんですが、一度ストップしても構いませんか? 急遽、重要事項についてのお話と、神木さんの同意が必要になります」
「……?」
分からないまま、頷いた。
すると固定が外されて、服を戻される。
中途半端な快楽が体を巡り、落ち着かない。
「な、に……?」
「すみません。神木さんの体から、思うような反応が確認できませんでした」
「……?」
久我先生が申し訳なさそうに言う。
なんだろう、どういうことだろう。
「神木さんは今、射精が難しいかもしれない状態です。ですので、射精しない方法でオーガズムを得るのが一番効率がいいんですが、それには神木さんに確認を取らないといけません」
「……はぁ」
モジモジとしてしまう。
なんでもいいから、早くこの中途半端に昂った心を鎮めたい。
「神木さんがよろしければ、今日からお尻の方の開発の方に移行したいと思います」
「……え、」
「お尻でのオーガズムは射精より快楽が大きく、何度も繰り返し味わうこともできます。なので、どちらにせよ最終的にはそちらで快楽を拾っていただく形になります」
つまり、なんだ。
お尻をいじらせろってことだろうか。
「ぇ、ぁ、む、むり、無理です。怖い」
「ええ。……無理強いはしません。ただ、その場合……今疼いている熱は、解放できませんので、今日の治療はこのまま終了ということになります」
「!」
それはそれで、困る。
涙が滲んで、零れそうになる。
佐伯さんに差し出されたティッシュを手に取り、目元に当てた。
「っ、そ、それも、困り、ます」
「私が今提案できるのは、このまま終了するか、次の段階に進むかのどちらかになります。ちなみに、次の段階に進むとなると、薬も注射で追加しますから、昨日のようにリラックスした状態で受けることができますよ」
どうしよう。すごく困った。
きっとこのまま治療を終えると、またご飯の味を感じられなくなる。
それにいずれは、お尻を開発されるということも理解した。
「ぅ……」
「神木さーん、頑張らなくて大丈夫ですよ。嫌なことは嫌で構いません。少し落ち着けば今のもどかしい感覚も薄れていきますし……」
佐伯さんにそう言われ、確かにそれもある。と思ったが。
「……が、頑張り、ます。どうせ……どうせいつかは、するんですよね……」
「はい。タイミングが今か後かなだけです」
「……うん。やり、ます」
そうはっきり口にした。
この体の疼きを我慢しているのも辛い。
「ありがとうございます。では……薬を打ちますね」
久我先生は佐伯さんに指示を出し、薬を用意させるとそれを僕の腕に刺した。
少しすると頭がぼんやりとし始める。
「うつ伏せになりましょう。お腹の下にクッションを置きますよ」
「ぅ……」
「上手です。恥ずかしくないですからね」
「……?」
恥ずかしい格好をしている気がするけれど、一気に頭が回らなくなった。
お尻がスースーする。
足は固定されているのか動かせなくて、目の前にいる佐伯さんを見上げると、彼は優しく微笑んで僕の手を握った。
「お尻にお薬を入れるのに、少し気持ち悪い感じがしますよ」
「? ……っう!」
「ゆっくり息を吐きましょう。大丈夫です」
お尻にヌルッとしたものが入ってきた。
痛いよりは気持ち悪くて、でもそれも一瞬で抜けて無くなる。
「じゃあ、神木さん。僕と手を繋いでましょうか。少しでも痛いなって思ったら、手をぎゅっと握ってください」
「ぁ、う、は、はい」
「深呼吸して……」
またヌルッと中に何かが入ってくる。
それは今度は直ぐに抜けることはなくて、少しだけ苦しい。
「ぇ、う……くるし……」
「すぐに慣れますからね、大丈夫ですよ。力抜いてましょうね」
生き物のようにヌルヌルと動くそれは、中の壁を撫でると、また抜けていった。
「佐伯、今から前立腺に触るから、もしもあまりに暴れそうだったら手も固定させてもらって」
「わかりました」
「神木さーん。今から気持ちいいところに触りますよ」
久我先生の声が聞こえてすぐ、再び入ってきた何かが中をいじっていく。
あうあうと声を漏らし、その感覚に腰が引けそうになるけれど、固定されて動けない。
「触るよー」
手がギュッと握られた、その時。
「あ゛っ……?」
体に走った大きな快感。
中のとある一点に触れられて、目の前がチカチカと白く点滅する。
「このまま絶頂するまで触るよ」
「少しだけ頑張りましょうね」
中で動くそれは、気持ちいいところから離れてくれない。
逃げたい。気持ちいい。なんだか、大きいのが来そう。
「あっ、ぁ、あー……っゃ、だめ、きもち、変、変なのくる、ぁ、あっ!」
「気持ちいいですね。それでいいんですよ。そのまま感じるものを受け入れてみましょうね」
トントンとタップされる。
おもわず佐伯さんの手を振り払おうとして、グッと抑えられた。
「ごめんなさい、少し抑えますね。あとちょっとですからね」
「うぅぅっ!」
気持ちいいのが蓄積されていく。
あ、と思った頃には目の前が真っ白になって、大きい快楽の波に飲み込まれ、体から力が抜けた。
「ぉ、いけましたね」
「うん、いい調子だ。あと一回はしたいね」
「じゃあ手を固定します。結構力強かったなぁ」
息を整えているうちに手が動かせなくなった。
そして中に入っていたそれがまた動き出して、同じところを刺激し始める。
「あ゛ぁぁっ、き、つい、ぁ、やぁっ、ぁ、いく、いきます、いく、イク──ッッ!」
間もなく絶頂し、フッと意識がブラックアウトした。
ともだちにシェアしよう!

