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第26話 テスト、受験、受験……色事?

紫季は少し考えて、素直に答えた。 「どっちがやりたいとか正直わからない……俺がお前を組み敷いてるところは全然想像できないし、実際できる気もしない。でも、逆なら簡単に想像できたんだよな。そんで、なんとなくお前もそうしたいんだろうなって、勝手に思ってたんだけど。どうなん?」 紫季にあっさり核心を突かれて、凛太朗は一瞬言葉に詰まった。 「そ、そうです……できたら俺は紫季に挿れたいと思っちゃってるけど……」 「じゃあ、そうしよ」 「ちょ、ちょっと待って!早い!いや、うれしいけど早いって!……紫季、本当にいいの?最初は痛みがあるっていうし、無理なら逆でも大丈夫だよ?」 恋人の潔さにあたふたしている凛太朗をよそに、紫季はどこかすっきりした顔をしていた。 「別に無理してない。そうだろうなって思ってたから……こないだ試しに、指、入れてみた。でも、自分じゃ全然ダメだった。だから、そこはお前に任せる。ちょっとでも痛くしたらボコす。わかったな。丁重にもてなせ」 「し、しきぃ……もう男前すぎて……なんか、可愛い通り越して尊い……」 凛太朗がひとりでブツブツ言っているのを横目に、「ほら、これ」と紫季がカバンから取り出したのは、ローションとゴム。 「え、用意してくれてたの?」 「当たり前だろ。マナーだ」 胸を張る紫季に、凛太朗の目がじわっと潤む。 「紫季……ありがと。……でも、今度からは俺が用意するから。紫季を気持ちよくするものは、俺が揃えたい。今回は、せっかくだから紫季のを使わせてもらうけど」 「……ん」 (………) (………) 「じゃあ……いい?」 「うん……」 二人の間に、ふわりと温かな沈黙が流れた。 見つめ合い、小さく笑って、そっと唇を重ねる。 紫季は、凛太朗の腕の中でふわっと抱き竦められる。 やわらかく唇を重ね合い、口の中をそっと確かめ合うようなキスに変わると、紫季は身を預けた。 「紫季、可愛い……ゆっくり、横になって」 首の後ろを支えられ、そっとベッドに倒される。 セミダブルのベッドは、二人が並んでも少し余裕があった。 「じゃあ……触っていくね」 「うん……」 髪に、頬に、耳の後ろに。 指先が肌を撫でるたび、紫季の身体は微かに反応する。 やがて唇が、鎖骨をそっとなぞる。 キスは、浅く、深く、角度を変えて── 熱を孕んだ空気の中、二人の世界がゆっくりと深まっていく。

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