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第4話
翔多への恋愛感情に気づいたときから浩貴は、体育の授業の前後が忍耐のときとなった。
翔多が着替えをしているところを直視できなくなってしまったのだ。
普通の親友同士だった頃は、当たり前だが平気で隣で着替えをしていたし、浩貴と翔多は中学時代から仲が良かったので、プールや海にもよく遊びに行った。
お互いの家……翔多は下宿先だが……にも泊まりに行ったりもした。
中学二年の修学旅行では温泉も一緒に入り、全裸も見ている。
しかし、それらすべてがもう遠い昔のことのように感じられる。
今は翔多が隣で着替えているところが視界の隅に入るだけで、心拍が速くなってしまう。
それに加えてちょうど今、体育の授業はプールだったりする。
それこそ浩貴は超必死で、翔多の色白の肌が眩しい上半身や、すらりとした綺麗な脚に目の焦点を合わせないようにしている。
それでも、時々もろに見てしまい、浩貴の下半身にダイレクトに刺激を与えてくることがある。
そのときは意識の焦点を逸らして体を沈めるのに超必死である。スクール水着がトランクス型ので良かった、としみじみ思う。もしもっと肌にぴったりする水着だったら、それこそごまかすこともできない。
クラスメートたちが多々いる中で、そこを元気にさせている姿など絶対さらしたくない。
だが、浩貴がそういう状態になってしまうのも仕方がないだろう。
浩貴にとって、翔多が隣で着替えているということは、イコール恋人が隣で着替えているということだし、翔多が上半身裸イコール恋人が上半身裸、ということなのだから。
それで欲情しない高校生男子はいないだろう、と浩貴は思う。
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