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第6話
「うわ! おいしい。オレたちって料理の才能あるのかもよー、浩貴」
晩御飯を作り終え、二人揃って、「いただきます」を言い、ビーフシチューを一口食べた瞬間、翔多が黒目がちの大きな瞳をキラキラさせた。
「市販のルウ使っているから、失敗するほうが珍しいだろ」
浩貴はそう言って苦笑したが、確かにビーフシチューもシーザーサラダも、市販の材料を使ったとは思えないほどおいしくできている。
きっと翔多と二人でワーワー言いながら作って、翔多と向かい合って二人きりで食べるから、特においしく感じるんだろうな……。
幸せと二人の愛が隠し味……なんてね。
「ね、浩貴、おじさんが残業のときは、浩貴が料理作るんだよね?」
「ああ。本当に簡単な料理だけどな」
「だから、やっぱり手際がいいよね。野菜をみじん切りにしたり、肉を炒めたり……傍で見てて感心したもん」
そんなふうに言いながら、翔多は唇についたドレッシングを赤い舌で舐めとる。その仕草がすごくエロくて、浩貴の欲情を直撃する。
……だめだぞ。まだ。性急になるのだけはだめだからな。
浩貴は懸命に自分に言い聞かせた。
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