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第7話

「そ、そういう翔多はじゃがいもくらい包丁でむけるようになれよ?」  欲望を抑えつけているため、浩貴の声は情けなくも上ずってしまった。  あー、なんかオレ、超かっこ悪いような気がする。  翔多から誘いを受けてから、今日のことを数えきれないくらい頭の中でシミュレーションしてきたというのに。  想像の中の自分はもう少し余裕があったような気がするのに……。  実際は全然、余裕の欠片もないじゃん、オレ。 「えー、だってオレ、包丁とか先のとがったものって苦手なんだよー」  だが、翔多のほうは、浩貴のそんな内心に気づいた様子もなく、サクランボのような唇をとがらせて、言い返してきた。  そんな表情の翔多もかわいい。 「……尖端恐怖症ってやつ?」 「なに? それ」 「包丁とか針とか、先がとがったものが怖いってやつ」 「あ、それそれ。オレ、針とか超怖いもん」  翔多が大げさに顔をしかめる。 「オレなんかボタン取れたら、自分でつけるぞ?」 「嘘。すごーい! 浩貴ってとってもいいお嫁さんになりそうだね。料理はできるし、裁縫もできるし。オレ、幸せ」 「なに言ってんだか」  他愛のない話で盛り上がりながらも、浩貴は刻々と迫る夜の時間へと意識が行ってしまうのをとめることはできなかった。

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