先にお風呂に入らせてもらい、持参したＴシャツとスエットを着て、浩貴が出てくると、翔多はよく冷えたミネラルウオーターのペットボトルを差し出してきて、 「縁側が涼しいから、そこで涼んで待っててよ。……じゃ、オレもお風呂入って来るねー」 　ひらひらと手を振ると、彼は風呂場のほうへ行ってしまった。 　浩貴は翔多のシャワーシーンを想像してしまい、下半身に熱が集まるのを感じた。 　……落ち着け……。 　さっき風呂で二回ほど抜いたので、下半身の昂ぶりは深呼吸でなんとか落ち着いてくれた。 　翔多に言われた通り、縁側へ行くと、なるほど気持ちのいい風が吹いている。 　翔多の伯母さんはガーデニングが趣味で、縁側に面した庭は、築の古い年季の入った家には似合わず、お洒落なプランターが置かれ、色とりどりの花が咲き、ウサギや猫の小さな置物がちょこんと座している。 　背の高い木々が日よけの役目と隣家からの目隠しの役目をしていた。 　……なんかこの庭だけが、別世界のようだな。乙女チックというか……。 　そんなことを考えながらも、翔多がシャワーを浴びる音につい聞き耳を立ててしまう浩貴。 　かすかに聞こえてくる水音に、心臓が駆け足を始める。 「あー、もうすげー緊張する」 　浩貴は小さく呟くと、もう一度深呼吸をした。 「浩貴、お待ちー」 　翔多の明るい声とともに頬に冷たいものが当てられた。 「わっ！？」 　翔多を待っているあいだ、ずっと極度の緊張状態にあった浩貴は、文字通り飛び上がるほど驚いた。どうやら翔多は気配を殺し、忍び足で浩貴のところまで来たようだった。 「びっくりささせんなよ、翔多」 　翔多のほうを見ると、彼も浩貴と同じようなＴシャツとスエット姿で、缶ビールを片手に一本ずつ持っている。 　…