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第10話
「なにがアルコールに超強いだ……」
浩貴が溜息とともに呟いた。
「めちゃくちゃ弱いじゃねーか」
翔多はビールを三口ほど飲んだ頃から呂律があやしくなり始め、半分ほどを飲んだ頃には完全に酔っ払ってしまった。
「えー? なにー? 浩貴、オレ酔ってないよー」
翔多は浩貴にもたれかかって楽しそうにしゃべる。
「はいはい」
浩貴は彼を抱きかかえるようにして立ち上がった。
密着度が激しくて、浩貴の欲望はギリギリ状態だが、とりあえず部屋へ連れて行かなければ、このまま縁側で酔い潰れてしまう。
まだビールが半分残っていると、駄々をこねる翔多を縁側から引っ剥がして、二階の彼の部屋へ向かう。
「あれ? なになになに? 浩貴、なんか家揺れてない? 揺れてるよね?」
「揺れてないって。おまえが酔っ払ってんだよ。ほら、階段危ないからちゃんと足ついて」
「えー? オレ酔ってないよー。だってオレ、お酒超強いんだもん。あのね、三日に一度は伯父さんの晩酌に付き合ってるから……」
翔多はキャラキャラ笑いながらさっきと同じことを言っている。
「それはさっき聞いたって。ったく、おまえ酔っ払ったらアホが増すみたいだな」
「あー、浩貴、ひどいー」
半ば引きずるようにして翔多を部屋へ連れて行き、ゆっくりとカーペットの上へ座らせてやり、浩貴も隣に座った。
「やれやれ。翔多? 大丈夫か? 水、持ってきてやろうか?」
「ううん。いらない。大丈夫だよー。浩貴ってほんとに優しいね。……大好き……」
最後の言葉だけやたらと色っぽいトーンで囁かれ、浩貴の鼓動がまた跳ね上がる。
翔多の肩越しに彼のベッドが見えて、それが余計に浩貴の情欲を煽った。
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