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第13話 結婚初夜 ①
流行病の高熱は身体にかなりの負担をかけていたようで、まる一ヶ月はベッドから起き上がるのがやっとで、ほとんどを自室で過ごした。
その間サイモンはカトラレル邸で過ごし、ずっと僕のそばに付き添ってくれた。
サイモンは僕のことを「ミカエル」と呼び、決して「ミカ」とは呼ばなかった。
どうしてミカと呼ばないの?と聞くと、「ミカはミカで、ミカエルはミカエルだから」と言う。
それがどう言う意味なのかはわからないけれど、サイモンの中で何か決まり事のようなことが、あるんだろうなと思うことにした。
そして徐々に体力が戻り、最愛の弟との別れから約2ヶ月がたち、季節は夏から秋にとなり、空が高く澄んだ日。
18歳になった僕は、サイモンと結婚式を挙げた。
上質な真っ白なシルクのドレスに、顔を隠すベールは総刺繍されたオーガンジー。
このドレスは僕ではない、サイモンの本当の花嫁だったミカがデザインしたものだった。
ミカと僕は同じ体型だったからか、体にフィットし、だぶついているところもない。
そういえばミカは、小さい頃からドレスが好きで、ベッドで過ごす時間はずっとドレスのデッサンをノートに描いては、そのデザインを元に服を作ってたっけ。
子爵家と伯爵家との結婚式ということもあって、たくさんの招待客に豪華な式。
挨拶回りは大変だったけれど、これも伯爵家の次期城主サイモンのパートナーとなった僕の勤めでもある。
朝早くから始まった式は滞りなく進み、ガーデンパーティーにうつり、もう日が落ち始めていた。
前日からの緊張であまり食欲がなく眠れていなかったので、挨拶回りが終わった時には僕の体力は限界だった。
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