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第15話 結婚初夜 ③

「こんな格好、変じゃ、ない?」 「綺麗だよ、ミカエル……」  真剣な眼差しでそう言われ、顔が真っ赤になる。 「ミカエル、大事な話があるんだ。聞いてくれるかい?」 「うん」  サイモンに手を引かれ、2人してベッドのヘリに座る。 「俺たちは結婚式を挙げてパートナーになった。もしかしてさっき侍女に何か言われたかもしれないけど、俺はミカエルが番になってもいいと思える時まで、待とうと思っている。だから何も焦ることはないんだよ」  サイモンはきっと初夜のことを言っていると思う。  僕自身、サイモンと番になりたいと思っているけれど、番になる行為は心配だらけ。  父様と母様は異性同士の結婚で、同性同士の行為については、よくご存知なかった。  だから僕は、一般的に知られていることを少し聞いただけで、何をどうするのか詳しい話は知らない。  変なことをしてしまったらどうしよう、初めては痛いって聞くけど、どれほどの痛みなんだろう。  行為自体も全然知らなくて、自分がどうすればいいかなんて全然わからない。  ちゃんと知っているのは、アルファとオメガの体が繋がりひとつになった時頸を噛むと番になること。それだけ。 「サイモン」 「ん?」 「僕、サイモンと番にはなりたいんだ」 「うん」 「でも番になるまでの行為のこと、全然知らなくて、知らないことが不安なんだ」 「うん」 「頭の中でサイモンと番になりたい。でもそれまでのことが不安。だけど番になりたい……が、ずっとぐるぐる回ってる」 「うん」 「サイモンはどうしたい?」 「俺もミカエルと番になりたい。でもミカエルに不安があるうちは、その不安を取り除いてやりたいし、時間が欲しいっていうならミカエルがいいって言うまで待つよ」 「僕はすぐにでもサイモンと番になりたい。僕が不安に思ってること、サイモンがいろいろ教えてくれるってこと?」 「ミカエルの不安がそれでなくなるのであれば……」 「サイモン、僕にいろいろ教えて」 「ミカエル、君って、本当に……」  サイモンは一瞬目を丸くしたけれどすぐに困ったように微笑み、僕の頬にキスをする。 「怖くなったら言うんだよ」  こくんと頷くと、サイモンは僕を抱き上げ、対面になるように自分の膝の上に僕を座らせた。 「ミカエル、こっち向いて」  僕が見上げると、 「キス、するからね」  頷き目をつむる僕の唇にサイモンの唇を重ねた。  額や頬にしてくれていたキスよりも、ずっと優しくて気持ちいい。 「どう?怖くない?」  こくりと頷く。 「口、開けて」 「キスするの?」 「大人のね」  大人のキスってどんなのだろう?  なんだかすごくどきどきする。  目を閉じほんのわずか口を開けると唇と唇が重なり合う。  サイモンの舌が口の中に入ってきて、舌と舌を絡め合わせる。  舌を吸われたり上顎を舐め上げられると、そのまま意識がどこかにいってしまいそうになるぐらい、気持ちいい。  どう息をしていいかわからず、頭がボーっとしてくる。  身体に力が入らなくなってきて、ぐらりと倒れそうになった時、サイモンが片腕で支えてくれ、もう片方の手は前開きのネグリジェのボタンを外していく。 「違う場所にもキスしていい?」 「どこ……?」  濃厚なキスで身体がとろけてしまいそう。 「こことか、こことか、こことか……」  サイモンは人差し指で、僕の耳から首筋、肩をつーっとひと撫でする。 「それと、ここも」  サイモンの手が乳首に触れると、 「っあ……」  と、ビクンっと身体の奥の方で、何かが蠢いた。  自分でも驚くほど吐息まじりの甘い声が出て、腰がビクッと少し跳ねた。 「キス、してもいい?」  触れられたところに微量の電気が流れたように、ジンジンする。  少し触れられただけなのに、もっと触れてほしくなる。  うん。と頷くと、サイモンは僕の服を全て脱がせ床に落とす。  そして僕をベッドの上に寝かせると、耳にキスをし、優しく触れるように首筋や肩にキスを落とす。  キスをされるたび身体がふわふわし、心臓がドキドキする。  肩に落とされたキスは徐々に下に降りていき、サイモンは乳首にキスをしてから、口の中で乳首を転がす。 「ふぁぁ…、あぁぁ……」  得体の知れない刺激が、ビリッと乳首から腰の奥に響く。どうにも我慢できない感覚が走り、腰がベッドから浮く。  片方の乳首は根本から舌で転がされ、もう片方の乳首は指先でこねられる。  下ら舐め上げられ、乳首の先を甘噛みされると、 「ひやぁぁ……ああ…ッ」  今まで聞いとことのないような甘い声が出てしまい、腰が跳ねる。  きつく吸い上げられたり指先でこねられると、ピリっとした快楽の電流が走り、乳首の周りを円を描くように舐められたり。人差し指の先端で乳首の先を撫でられると、ゾクゾクするような刺激が背中を伝う。  乳首を吸われながら色々な場所にキスをされ、身体がどんどん熱くなっていく。  先ほど塗り込まれたバラの香りと、少しずつ濃くなっていく甘い香りが混ざると、お腹の奥がキュンキュンと疼く。  この感じは……ヒート!  そう思った途端、むせかえるほどのフェロモンが身体から発せられた。  急激に体温が上がり胸が苦しい。  お腹の奥が切なく疼き、楔の根本に熱い塊が集まってくる。

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