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第16話 結婚初夜 ④
「く…っ」
大量のフェロモンに当てられたサイモンは一瞬眩暈を起こしたようにふらつき、血走ったような目で僕を見ると、いきなり楔を吸い上げられた。
「ひぃあぁぁ……ーーっ!」
強烈な刺激が楔から全身に巡り、ギュッと目を閉じる。
何が起こったのか、わからない。
ただ、腰の奥から何かが突然込み上げてきて、腰骨から脳天を突き破り、腰を大きく振り立てながら、楔から熱いものが弾け、それをサイモンに吸い上げられる。
自分意識とは関係なく、身体がビクビクと震え、自分がどうなってしまったか分からない。
「少し舐めただけでイくなんて…」
「イくって…なに…?」
初めて聞く単語。
それがないを示しているのか、理解できない。
「快楽の絶頂を迎えて、射精することだよ」
「射…精…?」
その言葉も知らない。
「射精も知らないなんて…。いいよ。今から嫌というほど教えてあげる。頭がおかしくなりそうなほど気持ちよくなったら『イク』っていうんだよ」
サイモンはもう股間の間で硬くなっている僕の楔を口に含むと、睾丸を揉みながら貪るように楔を吸い上げる。
「はっ、あ…っつ、んん……やっ…」
腰の奥深くが痺れ、キュンとしまって脚を閉じそうになる。
「閉じてはダメだ」
力強くサイモンに太ももを開かされ、楔の根本から口にふくまれる。
ねっとりと裏筋を舐められると、腰の奥深くの痺れが熱いもに変わり、よりサイモンに咥えられたいと、腰を上下してしまう。
「自分からするなんて、なんていやらしいんだ…」
いやらしい……。
母様からよく言われた言葉。
ー使用人にまで好かれようとそんなことをして、お前はなんていやらしい子なんだー
その時の母様の僕を見る顔が思い出される。
僕はいやらしい子……。
僕はサイモンにも嫌われうちゃうの?
そんなの、嫌だ!
胸を締め付けられる悲しみが込み上げてくる。
「僕はいやらしい子くて…悪い子、だけど……、嫌いに…ならないで……」
母様は僕が泣いたら、すぐに僕をぶつ。
泣き顔をサイモンに見られないように右腕で隠し、頭を殴られないように左腕で頭を隠す。
少しの沈黙の後、優しい何かが僕の頭を撫でる。
恐る恐る目を開けると、今にも泣きそうなサイモンが僕の頭を撫でてくれていた。
「自分が悪い子だなんて、どうしてそんなこと思うんだ?どうして顔と頭を隠す?」
泣きじゃくる僕の体を起こし、サイモンは僕と同じ目線になるように床に膝をつく。
「だって母様が、僕は誰にでも好かれようと尻尾を振る、いやらしい子だって……。泣いたら母様に打たれる……」
「!!」
サイモンの顔は怒りで満ちてくる。
「サイモンに嫌われたら…、僕は…僕は……」
そういうと、サイモンの手が僕の方に伸びてくる。
ぶたれる!
咄嗟に頭を腕で隠すとその腕の上から、サイモンの大きな手で頭を撫でてくれる。
「ミカエルは、そんな辛い思いをしていたんだな」
先ほどまで怒りに満ちていたサイモンの顔が、今度は眉間に皺を寄せ眉尻を下げ、悲しみの表情が浮かんでくる。
「俺が言った『いやらしい子』の意味は、身体が感じる気持ちいいを、ちゃんと俺に教えてくれる正直な子のことなんだ。決して悪い子なんかじゃなく、それができるミカエルは素直でいい子だ。俺は俺がすることでミカエルが俺の前だけ、快楽に素直でいやらしい子になってほしい。ミカエルがしてほしいこと、気持ちいいことを俺に教えてほしい」
サイモンは僕の髪を一束掬いキスをした。
「僕がサイモンの前で、いやらしい子になっても僕のことを嫌いにならない?」
「ああ、ならない。むしろ嬉しいし、今よりもっと好きになる」
「サイモンに触れられたら、おかしな気持ちになちゃうのも、許してくれる?」
「許すもなにも、もっとおかしくなってほしいって思う」
「気持ちいいって思ったら、気持ちいいって言ってもいい?」
「気持ちいいことは全部、教えてほしい」
「じゃあサイモンも、僕の前では『いやらしい子』になってね」
「……ミカエル、君って子は……。ああ、なるよ」
「約束だよ」
僕が小指をさし出すと、
「約束」
差し出した僕の指に、サイモンも小指を絡ませる。そこから暖かいものが、流れてくる。
母様に言われ続けて悲しかった言葉なのに、サイモンと一緒の時は嬉しい言葉。
「ミカエル、どうしてほしい?」
跪きながら、サイモンは僕を見上げる。
「サイモンも服を脱いで、いっぱい抱きしめて」
服越しでないサイモンの肌に触れたい。
サイモンは服を脱ぎ、僕を抱きしめてくれ、
「ミカエルの身体は、柔らかくて俺の肌に吸い付いてきて、本当に気持ちいい」
頭の先から髪越しに肩を通り腰を通り、素肌のままの双丘までをサイモンは撫でる。髪越しに触ってもらうのも気持ちいいけれど、素肌のままの双丘を撫でられると、もっと気持ちいい。
サイモンの広い背中に腕を回して、身体と体がより密着るように抱き、
「もっと触って……」
自ら双丘を突き出す。サイモンの掌は大きく、剣の稽古で豆ができ硬い皮膚になっていて、その両掌で僕の双丘を撫でながら揉む。
「あっ…、ぁ、あっ…」
サイモンの手の形がわかるほど揉まれると、後の蕾が刺激され、中からとろりとした液が太腿をつたう。双丘をもまれ、気持ちいいのにどこかもどかしい。
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