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第39話 罪悪感 ①
目覚めるとサイモンと繋がったまま、後ろから抱きしめられていた。
すぶりと楔を抜くが、媚肉がまだ離れたくないと楔を締め付ける。
「っ!」
サイモンは眠ったまま少し唸った。
よかった、まだ起きていない。
腰と腹部に鈍い痛みを感じなが立ち上がると、中からサイモンの精が流れ出た。
「ごめんなさい、サイモン」
涙が溢れ止まらない。
まだ体は精と密でドロドロだったが服を着て、寝室を出る。
なにかの時のためにと用意してくれていた僕専用の部屋に行き、エマさんに湯浴みの用意をしてもらう。
泣き腫らした僕の顔を見て、エマさんは何も言わずに
「大丈夫ですよ。いつも私がついています」
抱きしめてくれ、安堵の涙が出た。
今日は1人で入りますと浴槽に頭がすっぽり隠れるほど、浸かる。
目を閉じているのに、僕に笑いかけてくれるサイモンの顔が浮かぶ。
愛おしそうに見てくれる顔。
甘えるように話す時の顔……。
もう僕は、サイモンにそんな風に見てもらえない。
胸が締め付けられて、浴槽の中で涙が出ているが、それを湯が隠してくれる。
湯の中に潜り続けて苦しくなる。
息ができない。
早く顔を上げないと!
そう思う反面、このまま溺れてしまえばいいのに……とも思う。
この苦しさが息苦しいのか、サイモンと一緒にいられなくなった悲しみなのかわからない。
体が鉛のように重くて、自分の力では湯船から頭を出せない。
苦しい!
強くそう思った時、大きく口を開けてしまい大量の湯が入ってきた。
意識が遠くなっていく。
ああ、僕はこのままいなくなっちゃうのかな?
僕がいなくなって、誰か悲しんでくれるのだろうか?
そんなことを考えて、そんな人はいないことをすぐに気付く。
ミカ、もうすぐ僕もそっちに行くよ。
目を閉じた時、脇の下に誰かの腕が入ってきて、勢いよく湯船から引き上げられる。
「がはっ!!」
無意識に口の中に入っていた湯を吐き出して、大きく息を吸い込む。
急激に肺に空気が入ってきて、咳が止まらない。
空気があり息ができるはずなのに、うまく息ができない。
苦しい!
息をうまく吐けず咳き込む僕を、服が濡れてしまうことも気にせずエマさんがきつく抱きしめてくれる。
「ダメです!死んではダメです!諦めてはダメです!私がいます。ミカエル様のそばには私がいます!」
叫ぶように言い、顔を歪めながら涙を流す。
「僕が…いなくなったら……、寂しい…?」
朦朧とする意識の中尋ねると、
「当たり前じゃないですか!あなたは私の大切な人です。許しません。たとえミカエル様がいなくるなことを望まれたとしても、私はそれを許しません!」
僕がいなくなることを、寂しく思ってくれている人がいる。
嬉しかった。
「ありがとう…、でも、このことは、サイモンには…言わない、で……」
それだけ言うと、僕は暗い沼の中に落ちて行った。
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