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第41話 罪悪感 ③

 それから僕はエマさん以外誰にも会わず、自室に篭った。  毎日、1日に何度もサイモンは僕に会いにきてくれたけれど、「会えない」とエマさんに伝言してもらった。  そうすると、サイモンは何通も手紙を書いてくれた。  あのことには触れず、今日の出来事を書いてくれ、最後『体調はどうだい?心配している。ミカエルに会えなくて寂しい、一目でいいから会いたい。愛している』と書いてくれていた。  僕はそんなこと言ってもらえる人間ではない。  サイモンに話しかけることも視界に入ることも、許されない存在だ。  僕ができることは謝ること。 『ごめんなさい』そう手紙に書く以外、僕にできることはなかった。  そんな時、ルーカス様からこの前書いた手紙の返事が届いた。  その手紙には、ルーカス様もミカに会えないことが寂しいと書かれていた。  でもミカに対して僕が負い目や申し訳なさを、感じることもないとも書かれていた。  ミカは僕と兄弟で幸せだったと思うとも、書いてくださった。  ミカは本当にそう思ってくれていたか今ではわからないけれど、ルーカス様の言葉に救われた。  返事を書かないと。  そう思ったけれど、書けることがない。  なので、手紙をくれたことに対して感謝していると、そして僕は元気です。  ミカはルーカス様と文通できたことが、一番嬉しかったと思います。 もしかしたら僕は遠くに行くかも知れないので、返事を書けるのは、これが最後になることをお許しください。 と書いて、手紙を出してもらった。  僕がオリバー家から追い出されたら、ルーカス様とのやり取りもこれでおしまい。  この前は薬で無理やりヒートを起こしたけれど、本当なら次のヒートがくるのが1週間後。  もし1週間後ヒートがくれば、妊娠していないということ。  そうなったら僕は、この家から出て行こう。  あと1週間で僕のこれからが決まる。  これからの道がわかれば、この心の痛みは消えるのだろうか……?

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