41 / 82
第41話 罪悪感 ③
それから僕はエマさん以外誰にも会わず、自室に篭った。
毎日、1日に何度もサイモンは僕に会いにきてくれたけれど、「会えない」とエマさんに伝言してもらった。
そうすると、サイモンは何通も手紙を書いてくれた。
あのことには触れず、今日の出来事を書いてくれ、最後『体調はどうだい?心配している。ミカエルに会えなくて寂しい、一目でいいから会いたい。愛している』と書いてくれていた。
僕はそんなこと言ってもらえる人間ではない。
サイモンに話しかけることも視界に入ることも、許されない存在だ。
僕ができることは謝ること。
『ごめんなさい』そう手紙に書く以外、僕にできることはなかった。
そんな時、ルーカス様からこの前書いた手紙の返事が届いた。
その手紙には、ルーカス様もミカに会えないことが寂しいと書かれていた。
でもミカに対して僕が負い目や申し訳なさを、感じることもないとも書かれていた。
ミカは僕と兄弟で幸せだったと思うとも、書いてくださった。
ミカは本当にそう思ってくれていたか今ではわからないけれど、ルーカス様の言葉に救われた。
返事を書かないと。
そう思ったけれど、書けることがない。
なので、手紙をくれたことに対して感謝していると、そして僕は元気です。
ミカはルーカス様と文通できたことが、一番嬉しかったと思います。
もしかしたら僕は遠くに行くかも知れないので、返事を書けるのは、これが最後になることをお許しください。
と書いて、手紙を出してもらった。
僕がオリバー家から追い出されたら、ルーカス様とのやり取りもこれでおしまい。
この前は薬で無理やりヒートを起こしたけれど、本当なら次のヒートがくるのが1週間後。
もし1週間後ヒートがくれば、妊娠していないということ。
そうなったら僕は、この家から出て行こう。
あと1週間で僕のこれからが決まる。
これからの道がわかれば、この心の痛みは消えるのだろうか……?
ともだちにシェアしよう!

