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第3話 見つけた?
眠たい講義が終わって徹司と合流した。別の講義をとっていたが終わる時間は同じだったらしい。自転車を押して大学の敷地を歩いていた。
「あっ、あいつ。」
「誰?」
俺は見つけた。あの引っ詰め団子の男。名前がわからないから、ダサい呼び方をしていた。俺の頭の中だけの問題だ。
「知ってんの?
女子にモテモテの検見川零士。」
徹司は俺と違って交友関係が広い。
「けみがわれいじ?」
「そう、俺たちより2個上だよ。一度社会に出てから受験した。看護科だよ。」
俺と徹司は情報工学だった。あまり深く考えないで、これだったらなんとか就活も出来るだろ?ってな考えだった。最先端科学を学ぼう、なんて思ってた。
「看護科って女子の巣窟だよな。」
「この頃は男子も多いんだよ。現場では男性は引く手数多だからね。」
(すごい、生き方にポリシー持ってんだろうな。
苦手だ。)
自分の生き方のヌルさを恥じた。
帰って来て徹司とCDを聴いた。
もっぱらJAZZだ。
「今時、CDを買うんだ?
ダウンロードとかすればいいじゃん。」
「俺はジャケ買いなの。
ホントは昔のLPレコードが良かったけど。
CDじゃ小さいもんな。」
徹司は、お坊ちゃんだから、こだわりがある。
趣味に金をかけられる立場だ。
「なあ、あの検見川ってどうよ。
看護科だって?看護師目指してるのか?」
「おまえ、あいつのことばっか話すな?
惚れたか?」
「何言っちゃってんの。男だよ。」
「いいじゃん、男だって。
でも彼は、超モテ君だからなぁ。」
「ああ、俺のバイト先に来た時も女が離れなかったよ。女,見る目ねぇよ、あいつ。
ひでぇ女に引っ付かれてた。」
「おまえ、ずいぶん気にしてんな。
やっぱ、惚れたか?」
「いや、しっかりした考え持ってんだなって、思った。看護師かぁ。厳しい仕事だ。」
「変わり者だな。うちの大学、薬学もあるんだよ。そっちは男も多いのに、な。」
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