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第4話 ジャズバー
徹司の行きつけのジャズバーに行った。ここはレコードの数がすごい。壁一面のレコード棚。
古いビルの一階、路面店だから入りやすいが、他は結構いかがわしいテナントが多く入っている繁華街のビルだった。
「コンチワー!」
「いらっしゃい。」
イケメンのマスターが出迎えてくれる。徹司が常連で、俺も来るようになった。レコードを掛けてくれるのがカッコよくて気に入った。
貧乏学生だから、あまりいい客ではないかも知れないが、マスターは嫌な顔もしないで迎えてくれる。居心地の良い店だ。
忙しいとたまにカウンターの中に入って手伝ったりするので飲み代は安くしてくれる。徹司はそんな事気にしない。
「マッコイ・タイナーかけてよ。」
「徹ちゃんなら任せるよ。自分でかけて。」
ここの人たちはみんな古いJAZZが好きなんだ。ブルースも。70年代のものが主流だ。
「ねえ、地下になんか出来た?」
地下は広いフロアのある店だった。しょっ中テナントが変わる。
「ああ、ボーイズバーだって。
ホストクラブよりカジュアルな感じ。」
ひときわ、声を潜めてマスターが言う。
「店の売りは、なんと男性ストリッパーだって。」
「え?そんなの商品価値あるの?」
「近頃のお姉様たちは大胆なんだよ。」
世の中はずいぶん解放されて来たなぁ、と俺は感心した。
「全裸になるわけじゃないってさ。」
マスターが笑う。繁華街で店をやると客層も面白いらしい。
「イケメンが揃ってるんだって。草太もやってみれば。スーパーより時給良さそうだよ。」
俺の名前は泉草太。サバンナの水場みたいな名前で恥ずかしい。
「ボーイズバーって?ストリップもやるの?」
ホストが脱ぐわけではなさそうだ。
「鍛えた男の身体は芸術だ。見応えがあるよ。
全くいやらしくない。むしろその辺の女よりセクシーだ。」
マスターはお客さんに連れて行ってもらったそうだ。話を聞くだけなら面白そうだった。
「時給いいのか?」
「最低でも3000円。
ストリッパーは数万円だって。」
ちょっと興味が湧いて来た。
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