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第6話 男っぱい(おっぱい)

 イケメンでスタイルのいい男たちが目の前を歩いてくる。食い込む小さな布で。ペニスを包んでいるだけの小さい布。  見ていてヒヤヒヤする。いつ、ポロリと零れるのか? 刺激を与えたら勃起してはみ出してしまう。目の前に来てくれたモデルには女性客が小さいパンツに一万円札を数枚、挟み込む。 (ああ、こういうの、テレビで見たことある。)  お客さんたちは楽しそうだ。  激しい音楽が終わって店の中は落ち着いた。さっきまでキャーキャー騒いでいた女性たちは、席に呼んだこのモデルみたいな人たちと楽しそうだ。  上半身裸で、下着の上にきちんと衣装のズボンを穿いたモデルだか、ホストだかの人たちの膝の上に乗って喜んでいる。 「あんな事したらヤバいんじゃないの?」 「ま、ギリギリのサービスです。」 「シン君と蓮君はやらないの,モデル?」 「僕たちはまだ、途上なんです。」 「筋肉のつき方が足りないんだって。」 「みんなあんなマッチョを目指してるのか?」 「いえ、お客さんの中には、普通の痩せ型の男の子が好きな人もいるから、ま、色々ですね。  僕はマッチョになりたい。 メーンのショーがはじまりますよ。」  音楽が変わって静かになった。 「今度はちょっとしたストーリーがある、演劇仕立てになってるんですよ。」  蓮君が教えてくれる。 ステージをスポットライトが照らし出した。 ベットルームのしつらえだ。スーツを着たリーマン風の男がドアから入って来た。仕事が終わってやっと帰って来た、という体だ。 「ふぅーっ。」  ベッドに上着を脱ぎ捨て、ドカッと腰掛ける。 ネクタイを取ってワイシャツのボタンを外す。 むしり取るようにシャツを脱いだ。  見事な大胸筋。男のおっぱい。ガチャガチャベルトを外してズボンを脱ぐ。逆三角形の身体が美しい。靴下を脱いだ。その一つ一つにドキドキする。プライバシーを覗き見しているような後ろめたさ。ピッタリした下着だけでベッドに横たわる。その長い指が自分の肩を抱く。  寂しそうな寝姿。そばに行って抱きつきたい。 そんな気持ちにさせる男。たまらなくセクシーだ。 「寂しかったら、私を抱いて!」  客席から声がかかる。

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