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第17話 徹司の友情
徹司は、零士の身辺を探って見た。
この大学に近い地方都市の出身で、美咲ちゃんとも小学校からの知り合いだった。2才年上。
「うん、昔から独特の雰囲気の子だった。
物静かで、程よく冷めてる。
不良じゃなかったよ。不良に目をつけられがちだったな。」
美咲ちゃんの情報は、中々興味深いものだった。零士は美しく生まれすぎただけだ。
「小学校くらいの時は、キモい、とか言われてた。子供には綺麗すぎたんだね。
フフフ、私は早くから目を付けてたけど。」
なるほど、あの透明感は子供には、キモい、んだ。それが今の零士を作ってる?
私生活は謎に満ちていた。裏で,あの秋吉教授が噂を流しているのだろう。
あのボーイズバーを秋吉は認めているんだろうか?
「だいたい、秋吉は何がしたいんだ?」
自分が面倒を見ている男に対する嫉妬から、嫌がらせをしてくるわけではないだろう。
秋吉のマンション。
「ここに連れ込んでるんだね。
セックス三昧か。私が見ている事を知っていて、おまえは図々しいね。」
手にお仕置きの道具を持っている。
彼は身体に決して傷をつけない。
大学の教員ふぜいが、いやに金を持っている。
秋吉の悪事を暴きたい、と徹司も裏から手を回した。秋吉の行動を探る。
零士よりむしろ秋吉の方が怪しい空気を纏っている。
徹司は、証券類を処分した金でプロの探偵を雇った。どうして草太のためにそこまでやるのか、
我ながら不思議に思う。草太が辛い思いをしているのを見ていられない。子供の頃からだ。
友情ってそういうものだろ?
三日ぶりに零士が草太の部屋に来た。
「会いたかったよ。」
そう言って抱きついてくる。
「どこに行ってたの?
連絡先も知らないんだ。」
零士はスマホも携帯も持たない。いつも手ぶらで身軽だ。そしていつも新品の服を着ている。
一度でも洗濯されたものを着ない。身体に馴染んでいない。
「零士の服は使い捨てなんだ?」
冗談のつもりで言ったら、
「そうだよ。一回着たら捨てる。」
「えっ?嘘だろ。」
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