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第21話 地下の店
あのボーイズバーは、何とも怪しい、と徹司は探り始めた。
事前に『バー青山』のマスターにお伺いを立てる。
「やめておきな。徹ちゃん,あそこは何か、良くない場所だ。
たまに組対(そたい、反社に対応する警察の専門部署、4課。組織犯罪対策部)が張り込んでる。 関わらない方がいいよ。」
徹司は雇った吉田と共に出かけて来た。
『ボーイズバー ジュネ』
思い切ってドアを開けた。
「いらっしゃいませ。」
席に案内されて、蓮とシンを指名した。
「ご指名ありがとうございます。」
二人の顔を立ててシャンパンとフルーツを注文した。
「吉田さんはお酒強いですか?」
「ええ、まあ、それなりに。」
探偵の吉田は腕っぷしもお墨付きだった。
元警察官。頼もしい限りだ。
「今日はショーあるの?」
「はい、零士も出ますよ。」
徹司は驚いた。
(まだ、ここでストリップなんかやってるんだ?
毎日、草太と会ってるんじゃないんだな。)
乾杯して楽しんでいるふりをした。
「零士ってどんな人?蓮たちは親しいの?」
「ええ、謎の人ですね。
女性に大人気で、でも、枕はやらない。
お誘いが多いんだけど、バックに厳しいパトロンが付いてるんで。」
「そんな事言っちゃっていいの?」
「お客さんに誘惑されないように、牽制しろって上から言われてるんで。」
パトロンがいる事は言ってもいいらしい。
「ねえ、この店って怖い人がやってるんじゃないの?」
「今日はグイグイ来ますねぇ。
何か、調べてるんですか?」
「いや、別に。」
「そろそろショーが始まりますよ。
ひときわ、音楽が大きくなり、店の中央のランウェイに半裸の男たちが現れた。
みんな粒揃いのイケメンでマッチョで目のやり場に困る小さな布をまとっている。
ほぼ裸なのにスニーカーを履いていたり、何か爽やかだ。クルッと回りながら歩く度に男の象徴も揺れる。
きわどい衣装でサービス精神旺盛。食い込んだお尻が引き締まってセクシーだ。
「お尻がいいでしょ。
ウチのお客さんにはゲイの方も多いんですよ。
お尻目当て、で。」
シンがこっそり教えてくれた。
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