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第29話 薔薇の刺青

 零士が草太の部屋に来た。 「どこに行ってたの? 俺、寂しかったんだ。」  ふわっと抱かれてキスされた。草太も抱き返した。 「俺も働こうか、と思うんだ。 あのボーイズバーで。キャストなら出来るかな。 募集してたし。」  零士は顔色も変えずに冷たい視線で草太を見た。 「ふーん、別にいいんじゃない? スーパーよりは時給も高そうだし。」  髪に手を入れて頭を抱かれた。強い力で抱きしめられる。 「草太が欲しかったよ。」  シャツを捲り上げて胸に舌が這う。 「くすぐったいよ。」  胸の突起を吸われた。 「あ、はん。」  愛撫されながら 「ここに刺青入れなよ。俺とおそろい。」  零士の胸には薔薇の刺青があった。 セクシーな薔薇。 「俺なんかに似合うかな?」 「草太は全部、俺のものだろ。印を付けよう。」  急にそんな事言われて戸惑う。 「いくらくらいするの?」 「小さいからそんなに高くないよ。  俺が出すよ。ホントに入れる?」  嬉しそうな零士を見ると草太も入れてみよう、と言う気になった。  その夜はいつになく激しかった。零士は中に挿入されながら 「俺だけのもの。」 と何度も言う零士に、全てを捧げよう、と思ったのだった。いつも草太にはネコの零士。  朝起きて、 「零士、下着洗っておいたから着て。」 「うわぁ、そういうの寒気がする。 世話女房って言うんだよね。キモい。 でも、ありがとう。」  へんな感想だ。拗れまくっている。 「素直じゃないなぁ。服、捨てないで。 俺がもらう。」 「サイズ合わないんじゃね?」  午後から零士の知ってる彫り師の所に行った。思い切って、零士とお揃いの薔薇を彫ってもらった。乳首の下あたりは結構痛かった。  夜、零士が,彫った後の腫れ上がった所を舐めたがるので困った。 「草太愛してるよ。俺だけのものだよ。」 「すごい独占欲。零士ってそういうキャラだったの?」

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