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第34話 キャスト
店のキャストがニヤニヤしている。
シャワーを使って、身支度した草太がフロアに出て来ると、スタッフがみんな訳知り顔で見て来る。
「一発抜いてきた?」
「なんでわかるの?」
「みんな呼ばれてやられちゃうんだよ。」
「信じられない。公認なんだ⁈」
「若頭が盛って来ると好みの男が呼ばれるんだよ。かしらはネコだから、その気の無いものは地獄だな。」
みんながみんなゲイなわけがない。
「前は乱交も有り、だった。女も呼ぶんだよ。
好きものの女。でもこの頃は専ら男だけだな。」
以前はタイから来たモデルたちがお気に入りだったそうだ。
「身体がいいだろ。彼らはゲイが多いんだよ。」
店が始まる前の時間、さしづめ乱交パーティの会場になる。
「嫌いな奴はいないだろ、セックス。」
そして夜になると欲求不満な姫たちに奉仕する。店の中ではあまり過激な事はしない。
姫を濡らすのはキャストの役目。
その後は枕(営業)に繋げる。
店の中はいつも欲情した気配が充満している。
そしてランウェイを歩くマッチョでイケメンなモデルたち。あの筋肉に抱かれたい、と思う姫たちの欲求不満を煽る、ストリップのステージ。
スーツにネクタイをしたリーマン風のモデルが
疑似ベッドで脱ぐ。裸ネクタイのエロっぽさ。
ワイシャツを脱ぐのがたまらない。
常連さんがボタンを外すのを手伝う。特権だ。
時々、手を引かれてベッドに引き摺り込まれる。
一瞬の事だが半裸の男に抱かれて姫は絶好調。
首に抱きついてキスしてもらう。
お客さんを交えたショーなのだ。それ以上を望むならアフターで。
そしてトリは、零士のショーだ。
今夜は、零士の勃起は見られないかもしれない。
ショーの前に散々セックスして抜いたから。
陸と草太に奉仕したから。
零士は欲情していない冷めた目で客席を見回した。
草太が接客しているテーブルが目に入った。
親しげに肩を抱き寄せて草太とディープキスしようとする女性客を見つけた、
ステージを降りて零士がこちらに来る。
「どうしたの、零士?」
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