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第38話 零士と草太 2

「零士はどっちなの?どっちが好きなの?」 抱き潰されてグッタリしている草太が聞いた。 「俺は自分の事がよくわかってないんだ。ずっと女が好きだったし。女とやるのが気持ちいいと思ってたんだよ。」  草太は女を抱く零士を想像して苦しくなった。 自分も零士に女のように抱かれたい、屈折した思いになった。 「ねえ、いつもそばにいる人が恋人でしょ。 一番愛してる人でしょ。」  零士は、草太がウザい恋人になりそうで焦った。 「薔薇の刺青も入れたんだよ。もう他の人とセックスしないで。」  草太の頭を撫でて抱き寄せた。 「セックスは俺の仕事なんだよ。 そんなめんどくさい奴だったのか? 俺の可愛い草太は。」  優しくくちづけされるともう他に何もいらない と思える。 「ああ、また零士のペースだ。 零士は浮気するのになんで俺にヤキモチがすごいの?」 「俺の草太だからさ。俺の、だよ。」  初めて後孔に入れられた快感がすごかった。 何か,特別感覚の鋭いところがあるんだろう。  初めての快感だった。キツい孔に無理矢理入れられる、その自虐感だけだと思っていた。  全然違った。零士も好きな快楽の場所。零士にタブーはない。身体中全部を欲しがる零士が愛しい。 「俺、セックスを知ってから快楽を追求したんだ。」  ベッドで腕枕をして昔語りが始まった。 「猿はマスターベーションを教えると死ぬまでやり続けるらしい。  俺も似たような感じだった。セックスに夢中になった。初めての女は少し年上で、いろんな事を教えてくれた。でも,物足りなかった。  その頃あの秋吉と出会ったと言う。 「あの男はゲイだった。」

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