41 / 102
第41話 陸と龍一
徹司も吉田に紹介されて龍一に会った。龍一は背の高い綺麗な男だった。
お互いに衝撃を受けた。
名刺を見ると申し分のない経歴。
[T大理三 准教授 医学博士
佐波龍一]
極道、佐波一家四代目、とは書いてない。
「やっぱり、学歴がモノを言うな。カッコいい。」
そう言って陸も名刺を出す。杉の薄板に金箔押しで
[広域暴力団 関東T会 若頭筆頭
安藤陸]
極道のエリートだ。コケオドシに豪華な名刺を差し出した。
『ボーイズバー ジュネ』に招待された。
まずは、奥の事務所に。
「ここじゃ、カチコミされたら逃げ場がないですね。」
開口一番、龍一の感想だった。いかにも極道の事務所然としている部屋に通されて、虎ニと若松が居心地悪そうだ。
一緒について来た貴也も、モジモジしている。
「店で一杯いかがですか。
零士のショーもお見せしたいし。」
みんなで広い店のフロアに移動した。
シャンパンが開けられ、派手な演出で歓待された。草太が蓮とシンと共に接客を任された。
「いらっしゃいませ。」
緊張気味に名刺を差し出した。
「もうすぐ、モデルたちのウォーキングが始まります。」
その後、メンズストリップがある。
音楽が大きくなり、マッチョで半裸のイケメンたちが登場した。
「すごい。みんないい身体。イケメンですね。」
今にもこぼれ落ちそうな衣装も見ものだった。
「目のやり場に困るね。」
ステージにスポットライトが当たる。
中心にあるベッドに、仕事帰りのリーマンの体(てい)でイケメンが帰って来た。
けだるそうにシャツを脱ぐ。みんなの好きな裸ネクタイで手伝ってくれる姫を逆にご指名だ。
抽選で当たったお客さんがうやうやしくステージに上がって、シャツのボタンを外す。
手を握られて真っ赤になっている。
「可愛いよ。」
耳元でイケボが囁く。軽く頬にくちづけられて
ステージを降りる。
虎ニが感激して言った。
「お客さん参加型の演出なんだね。」
ともだちにシェアしよう!

