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第42話 零士のショー

 メーンのショーが始まった。 照明が落とされてステージが新たにセットされる。天蓋付きの白いベッドは零士の定番だ。  スポットライトに照らされて、1カ所だけが明るくなる。身体にシフォンの布を巻き付けて、起き上がるシルエット。照明が絶妙だ。  長い黒髪をキリリと結んで、肩から布を落とした。腰にまとわりついて布は止まった。  ほっそりとしたその身体。でもしっかりと筋肉は付いている。露わになった上半身に大胸筋が見事だ。かなり鍛えているのだろう、無駄のない筋肉。その顔をライトが照らす。  彫りの深い端正な顔。非の打ち所がない。ベッドに寝そべり、こちらを見た。  化粧をしているのか、妖艶な顔立ち。 「綺麗な人だなあ。身体もきれいだ。」  貴也がため息をついた。 零士は起き上がり、客席に近づいて来た。 草太の手を取り、ステージにあげる。 (えっ?俺、何も聞いてないよ。)  慌てる草太を抱き上げてベッドに誘う。 「靴、脱がなきゃ。待って、零士。」  零士が丁寧に靴を脱がせる。靴下も脱がせて、優しくシャツを捲り上げた。  胸の下にお揃いの薔薇の刺青。草太は零士のアマンだと一目でわかってしまう。  まるで本気のセックスのような絡みに客席は騒然となる。 「いやぁ!零士、私を抱いて!」  客席から悲鳴が上がる。草太の髪を撫でて熱いくちづけをする。  腰に布を纏わせながら、草太を抱き起こす。一部の隙もない零士の動き。草太は抱き起こされて肩からシャツの袖を抜く。  お互いに上半身裸の身体を合わせて抱き合う。 首筋に舌を這わせて、もう草太はなすがままだ。 「華麗だな。こんなエロい演出で法に触れないのか?」  龍一が心配そうに言った。 ベッドの上でただ抱き合っているだけなのに、もう本番のようだった。 「これはセックスショーなのか?」 「いや、その予定はなかったはずだ。 ここにいた草太はまるで素人だ。 零士がリードしているだけだ。」  零士が草太のズボンを下ろして下着だけになった所を触っている。  抱きついて頭を振っている草太。やめて欲しい、と言っているようだ。構わず下着に手を入れた。そこで照明がフェードアウト。  客席からため息が漏れた。

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