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第49話 またいなくなる
徹司が駆けつけて来た、
「草太、大丈夫か?
零士さん、、草太を振り回すのはやめろよ!」
徹司が来るから、草太は出かけないで待っていた。零士はとりあえず近所の美容院で髪を整えて来た。肩までのセミロングも中々カッコいい。
遅れて徹司が入って来た。いきなりケンカ腰だ。
「零士も仕事、辞めたんだ。」
「よくあのヤクザが辞めさせてくれたな。」
「髪を人質に取られた。」
「ああ、似合ってるよ。
イケメンは何してもかっこいいな。」
徹司も人がいい。ケンカ腰はどこかに消えた。
「ああいう、夜職は良くないよ。
草太は大学に戻れよ。それほど、単位落としてないだろ。」
零士が居心地悪そうだ。
「おまえたちは地元が一緒だって?
幼馴染みか、いいなぁ。」
草太は零士に寄り添いたい。でも、心配してくれる徹司も大事だ。せっかく来てくれたし。
「草太は安心だ。いい友達がいる。」
寂しそうな零士を見ているとツラい。
「零士さんはファンもたくさんいるし、どこでも仕事出来そうですよね。
草太は田舎者だから、俺がついていないとダメなんですよ。昔から。」
「ああ、そうだね。
俺も仕事に少し心当たりがあるから、出かけてくるよ。」
零士は出かけようとしている。
「待って。零士って携帯もスマホも持たないんだよね。連絡が出来ないよ。出かけないで。」
「今度、部屋を探しに行く時、スマホも買うよ。
俺、電子機器アレルギーなんだよ。
秋吉に待たされてただろう。」
あのカード型の盗聴器みたいな奴のことを言ってるんだ。とわかった。
零士が嫌な思い出に繋がるなら、携帯電話の無理強いはやめたい、と草太は思ったのだった。
ものすごく胸騒ぎがする。
「零士、待って。俺も一緒に行く。」
「大丈夫だよ。俺も野暮用が溜まってんだ。
連絡しないと心配すんのがいるんだよ。」
「零士の親御さんとか,か?」
そう言うことを全然知らない草太は、気になっていた。
「今度、紹介するよ。家に連れてく。
とりあえず、今日は、俺一人でご機嫌伺いして来るよ。」
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