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第66話 仕事
今夜も仕事だ。零士は草太を守るために、陸との約束を守らざるを得ない。
草太には枕営業を強いない。
嫌な接客を無理強いさせない。
性的な接客をさせない。
脱がせない。触らせない。身体を売らない。
等々、陸に約束させた。
零士自身の身体と引き換えに。
零士がギリギリの仕事をさせられても、草太には無理強いしないように。
「ヤクザ、舐めんなよ。」
零士は、草太を人質に脅しをかけられている。
草太は知る由もない。
ただ、水商売の接客をすればいい、と思っている。
今夜も姫たちが指名してくれる。賑やかな夜が待っている。
控え室にウォーキング担当の半裸の男たちがいる。草太も時々仲間に入るので、仲良しになった男たち。みんな気のいい人たちだ。
綺麗な身体を保つのに忙しい。
「すごいね。衣装。
ホントにちっちゃい布だけなんだ⁈」
「そう、布を落とさないように、しっかり貼り付けないと。」
後ろは食い込んでTバックになっている。
「エッチな事、考えちゃって勃ったらどうするの? はみだしちゃうでしょ。」
「このもっこり感がいいのさ。
姫が触りに来る。札を挟んでもっこりを触って行くよ。」
裸でもそれなりに準備が必要らしい。全身脱毛は必要だ。
「時々、姫のご指名でアフターに枕、を要請される。重労働だ。」
「セックスが?」
「そうそう、自由恋愛と言ってるけど。」
「ウチの店は全員、身体の検査が厳しい。
性病とか、皮膚病も御法度だ。
専属の医者がいて、目を光らせている。」
「そうだった。 俺も健康診断,詳しくやった。」
「安心して遊べるように、だ。
触法は絶対だめだから。」
ヤクザが経営している、と思えない健全さだった。
「触法と言えば、系列店で未成年を使ってるのがバレたらしい。
それも児童ポルノに近いモノだったって。」
そんな事があったせいか、この頃、年齢確認が厳しくなった。スタッフも,お客様も、だ。
「変態がいるんだよ。
外国に子供を買いに行く、なんて奴がいて、陸さんが事務所に拐って半殺しにしたっていう噂だ。」
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