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第70話 二人のカラミ
今日も、陸が見ている。
ホストとして働いている零士が、ステージに立つ時間。袖でじっと見つめる陸。
一段とセクシーで色っぽくなった零士のストリップのステージ。益々ファンが増えている。
薄衣をまとった身体を惜しげもなく見せつける。誰かとのカラミの要望が多い。
姫たちは男同士の愛の行為をリクエストして来る。
今夜は、いつも、リーマンの仕事帰り、のような設定の演技をする肉体派の流星と二人でのカラミだ。
暗転する。ステージにスポットライト。疲れて帰って来た身体の流星を迎える。可愛い妻(?)役の零士。
スーツの男に抱きつく薄衣の零士が可愛い。熱いくちづけは本気だ。
首に抱きついて上着を脱がせる。ネクタイを取ってシャツのボタンを一つ一つ外していく。
その間も流星が薄い布に手を入れて零士の身体を弄る。ズボンのベルトをカチャカチャ外して脱がせて行く。もう待てない、と流星が零士を抱きしめる。胸の薔薇にキス。
「キャーキャー」
客席から黄色い声が飛ぶ。本当にセックスの前戯のようで、草太は見ていられない。
「なんか妬けるわね。
あの二人、デキてる訳じやないんでしょ?
あたしも、男欲しくなっちゃった。」
枕に付き合え、と言われた。
「俺、枕はしないんです。」
「ま、女に恥をかかせるつもり?」
そこにあの、鬼枕先輩が割り込んで来た。
「姫、私ではいかがでしょう?」
鬼枕先輩は、この店でもイケメンで人気がある。いつもナンバーに入っている。
ここはホストクラブでもゲスな店だ。枕推奨なのだ。ホストは男娼と同じ。
鬼枕先輩にうっとり合意した姫は
「草太ちゃん、もう少し大人になったら、ね。」
「はは、フラれたな。私が頂きますよ。」
鬼枕先輩に、蓮とシンが複雑な顔をしている。
「あ,ありがとうございます。助かりました。」
小さな声で礼を言った。
ステージではベッドで二人抱き合って、まるで本番のようなシーンだった。
零士は客席の草太に気がついて、鬼枕先輩に声を出さずに「グッドジョブ」と言っていた。
流星との熱いくちづけで、灯が消えてステージが終わった。
袖で待ち構えた陸が零士の身体を抱き止めた。
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