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第72話 変態からヤクザに売られる

 類稀(たぐいまれ)な美貌の零士は、変態の医者に囲われ、自分の進路も全て決められた。  秋吉は金に汚い。金になるなら汚い事でも手を染める。自分の地位を利用して立ち回りがうまかった。  大学もなぜ、あんな男を教授にまでさせたのか。論文も穴だらけの盗作まがいで、医学の博士号を取れたのが不思議だ。  多分,詐称だったのでは?捏造か。  T会は、広域暴力団だ。この北関東でシノギを任されているのは、まだ若造の安藤陸、だった。 「薬が必要ではありませんか?」  T会の幹部に話を持って来た。秋吉の小賢しい所だ。  医療用のフェン○ニルの横流し。まだ、北関東には入って来ない麻薬だったが医療用はあった。  解毒剤のナロキソンと共にフェン○ニルの横流し。広く蔓延すると大変な事になる。アメリカ、ケンジントンのように。  変態には、善悪の判断も出来ないのか。  秋吉は、逮捕されて,その罪状が確認されている。極刑になりそうな、多くの犯罪だった。  どれもヤクザの大好物。秋吉はうまくとりいったつもりだった。  薬物と一緒に,人身御供にされたのが零士だった。秋吉が連れて来た男。 「親父、俺にくれよ。」 会長に頼む。陸の一目惚れだった。 「店を繁盛させるから、こいつを俺にくれよ。」 どうせ金で売られた男だろう。  会長に直談判して手に入れた男。 でも、陸は零士と恋がしたかった。キチンと愛のある関係を構築したかったのだ。  ヤクザの純情。  そう簡単に放免が許されるわけもなく、陸は簡単に辞めさせては、くれなかった。  会長直々に呼び出された。 「今度ばかりは手ぬるいな。キッチリけじめをつけろ。」  零士は店の看板スターだ。みすみす逃す訳にはいかない。  零士と草太、二人で暮らす家に強盗がはいった。強盗と見せかけて,家を荒らして行く。  家具調度を破壊した。ピアノを壊した。 「カネ、カネダセ!」  覆面をした外国人らしき数人の男。草太はその中に知ってる顔を見た。   目出し帽や覆面越しに 「あっ、グエンっ!なんで?」 あのウォーキングダンサーの一人だった。 「酷いよ。友達だと思ってたのに!」  暴れて帰って行った。命は取られなかった。

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