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第73話 強盗

「警察を呼んだ方がいいな。」 零士が、こっちは何も悪い事してないんだから、警察は味方だよ、と言う。  感じ悪い刑事が来た。 「あんたたち、ホストなんだって? しかもホモ?」  嫌な言い方をする刑事だった。もう一人、気の弱そうな刑事も一緒だった。 「心当たりはないの? 知ってる顔はいなかった?」  さも、嫌そうに話を聞いて来る。  徹司と美咲ちゃんが駆けつけて来てくれた。 「ちょっと刑事さん、感じ悪いわ、その聞き方。  ちゃんと聞きなさいよ。」  気の強い美咲ちゃんがくってかかる。 零士と草太の関係に薄々気付いているようで、草太は気まずい。  刑事の聞き込みが終わった。 「また、詳しい事がわかったら署の方においで頂くと思います。被害届出してもらうので。」  嫌味な方の刑事が睨みつけて帰った。  美咲ちゃんから覚悟していた質問がきた。 「零士と草太、一緒に住んでるの?」  この前、零士の実家の事を聞かれたから、気付いてたよ、と言われた。 「あたしが驚いたのは、零士も草太もそっちの人だったって事。」 「そっちの人?」 「そう、男が好きなの?」  美咲ちゃんはボーイズバーで働いている零士をずっと気にしていた。どんな店か、人から聞いた。自分で行く勇気は無かった。  素朴で裏のない、草太を気に入っていた。そして子供の頃から片思いだった零士。 「二人が一緒に住むほど親しくなってたなんて気が付かなかった。」  草太の肩を抱いた零士が 「親父には言わないでくれ。」 「すぐ、バレるよ。」 「この前、ここに親父とおふくろ、アレックスまで一緒に来たんだ。」 「えっ?フラン?あ、アレックスね。 元気だった?まだ日本にいるんだね。」  ずっと黙って聞いていた徹司が 「おまえたち、よく平気だな。怖くないのか?」  確かに。強盗に襲われたんだ。殺されたかもしれない。 「知ってる奴だった。 店のダンサー。一人はベトナム人。あと、タイ人もいた。知ってる顔をだった。」 「陸だ。見せしめに陸が寄越したんだ。」  ピアノまで、壊された。

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