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第79話 犬の名前
「わあっ、一緒に寝よう。」
ソファに飛び乗って、犬と抱き合っている。
「大きな犬と暮らすのが夢だったんだ。
名前、なんて付けよう。」
陸が持って来た書類には、なんだか難しい名前がついていた。立派な血統書。
「まだ、生後4ヶ月だって。11才が平均寿命ならまだ10年以上あるよ。
本当はもっと長生きして欲しい。」
「まだまだデカくなるんだな。」
零士の言葉に草太が
「閃いた!マックスだ。マックス!
でっかい犬、マックス!」
「本当は闘犬になるような犬らしいけど、この子は闘犬になれないんだ。尻尾が下がってるから。
やさしい犬だって言ってたな。」
「陸は帰っちゃったよ。無責任だあ。」
餌の事とか、散歩の事とか、細かい指示が書かれた書類を置いて行った。餌の袋も。
ソファに零士と草太が並んで座ったら、真ん中にデンっとマックスが座った。
「こいつ、俺たちの邪魔をする!」
「子供なんだよ。寂しいんだ。
抱っこしてあげよう。」
零士を見て犬は「ニヤリ」と笑った。
「えっ?」
(こいつはライバルになるな。)
それからは慣れるまで、ひと騒動だった。
零士と草太が風呂に入ると、自分も入れろ、と騒ぐ。眠る時もベッドの真ん中に居座る
「怒っちゃダメだよ。優しく躾けよう。」
朝早くから散歩に駆り出される。よく食べてデカいうんこをする。田舎で広い空き地がある。海が近いから車で海岸に連れて行って走らせる。
「1日が全部マックスのためにあるようだ。」
「零士は犬が嫌い?」
「いやあ、実は・・大好きなんだ。」
マックスが飛んできて零士の顔をベロン、と舐めた。
「マックスも零士が好きだって。」
マックスは我が物顔で真ん中に座る。マックスをよけながら、零士と草太はキスをする。キスしているときは邪魔をしない。
「マックス、いい子だね。」
慣れて来たマックスは夜眠る時も二人の邪魔をしなくなった。
二人の愛の行為の邪魔もしない。
二人で風呂に入っている時は、マックスは我慢している。
「もしかしてマックスってものすごく頭がいいんしゃない?」
「天才犬、だ!」
「ウ、ウオーン!」
得意げに返事をした。
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