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第82話 仕事

 零士は陸に会いに行った。陸が飛んできて抱きしめる。 「草太はどうした?別れたのか?犬は?」 「犬は元気だよ。草太が可愛がってる。」  肩を抱かれて顔を見られた。 「陸、俺、困った時頼るのがヤクザしかいないなんて情けねえよ。」 「ずいぶんな言い草だな。 それで俺を思い出したのか? 後足で砂かけるように出て行ったのに。」 「アンタだって家壊したり、 ずいぶんな仕打ちだったよ。」 「それでも、ここに来てくれて嬉しいよ。 働きたいんだって?」  熱いキスで唇を奪われながら考えた。 「零士はまた、ストリップやるかい? お客さんの要望が多いんだ。 零士に会いたいって。 うちに戻ってくれば、 またおまえはスター、だよ。」 「草太を泣かせたくない。」 「零士、全てを手に入れるのは無理だ。 無くしたくないものを抱え込むなら、 何かを捨てないと、な。」 「草太は捨てられない。 俺が初めて自分から、 欲しい、と思った男なんだ。  今の暮らしを変えたくない。 犬も草太も大切な家族だ。」 「あーあ、だから俺は結婚ってものをしないで来たんだ。無くしたくないものに縛られたら、極道は終わりだから。」  零士は 陸を抱き寄せて 「俺をなくしたくないんだろ?」 「悪魔のように魅力的だな、零士。」  ソファに座って優しく抱きしめられた。 今までなら、有無を言わさず、セックスに繋がる 雰囲気だった。今日はそこまでやらない。 「いいよ、俺とやりたいんだろ。」  陸は笑って 「極道、舐めんなよ。 また、店でショーをやれ。 メンズストリップで売り出す。」  金庫を開けた。中から札束を引き出した。 百万の束を無造作に重ねて紙袋に投げ入れる。 「とりあえず、また、おまえを飼ってやる。 一千万。支度金だ。逃げるなよ。」  再度唇を奪われた。 「陸もエロいな。俺勃っちまった。」 「俺も爆発しそうだ。」

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