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第86話 和解

「ギリギリだな。また、刑事に踏み込まれる。」 法に触れるギリギリだと言っている。  陸は嬉しそうだ。 「ウチは、おまわり、が飛んで来るくらいセクシーなのが売りなんだよ。  姫の嬌声が聞こえるのが景気良くていいだろ?」  事務所に、楽屋から零士と流星が戻ってきた。零士は陸に抱かれる覚悟だった。 「もう、店上がっていいぞ。」  陸は流星の肩を抱いて奥の部屋に引っ込んだ。 「なんだ、もう陸の寵愛を受けるのは俺じゃないんだな。」  流星が零士の後釜になったようだ。陸の愛人。 零士は、草太のためにホッとしたが、肩透かしのような気がした。複雑な心境だった。  蓮とシンと一緒にいた草太が走ってきた。 零士について来て、ただの見習いホストだ。蓮とシンが面倒を見てくれる。  あのウォーキングダンサーたちの中にグエン、とソムチャイがいた。 「草太が警察に言わないでくれたから、強制送還させられなくて済んだ。  ありがと。ごめんなさい。」 草太に謝りに来た。 「大丈夫だよ。 どうせ無理矢理やらされたんでしょ。  やらせた人はわかってるから。 お詫びに犬をくれたんだよ。」 「犬なら、私たちも大好きです。 美味しかった?」 「えっ?ええーっ? 食べないよ! うちじゃ家族が増えたって喜んでるんだよ。グエン、冗談だよね。」 「あはは、冗談冗談。」  ソムチャイも 「犬も猫も,仏の弟子。 故郷(くに)では、お寺でみんな暮らしてます。 食べるなんて,中国人だけでしょ。恐ろしい。」 「良かった。食べないんならウチのマックス、 紹介するよ。遊びにおいで。 場所は知ってるでしょ。」 (強盗に入ったんだから。) と心の中で思った。 「グエンもソムチャイも友達だよ。」  二人とも筋肉がすごい。ウォーキングの時、 姫たちに触られまくっている。 「今度、筋トレ教えてもらおう。」  蓮が自分の大胸筋を見せた。 「グエンに教わってこの筋肉付けたんだよ。」 「すごい、シンちゃんは?」 「僕は細マッチョで売ってるから、筋肉は控えめで。」

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