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第92話 看板

 ヤクザの看板背負ってると面倒な事は多い。 T会も昔は金筋のヤクザだった。  時代と共にスレスレの稼業もある。しかし、堅気に迷惑かけるようなシノギは御法度だ。  陸も風営法を守っている。 「男の裸は見せるが、全部じゃねぇ。 売春もさせねぇ。自由恋愛はあるが、よ。」  タイルートから入ってくるダンサーは全員ワーキングビザを申請させる。  決して身体は売らせない。奴らも適当に女と恋愛しているが、店の強制ではない。  可愛いものだ。健康診断も厳しいから病気はない。 「こんな真面目な店は貴重ですよ。」  タイ人とベトナム人が多いが、ルックスの縛りが厳しい。みんなイケメンマッチョだ。  ネットでモデルをやっているような青年が面接に来る。 「タイでは、日本のジュネで働いてたっていうと 箔がつくのよ。健全なイケメンってお墨付きをもらってるようなものだから。」  それが、陸のプライドだった。 粒よりの男たち。ガキは使わない。全員成人だ。 「全く、秋吉のやってた事は胸糞悪い。 泣き叫ぶガキが好きな客がいるって、親から買い取ってくるのよ。  まだ、10才くらいのガキを、よ。」  事情を知った組員が警察に垂れ込んでも「不起訴」で終わる。 「この国は狂い始めている。」  そう囁かれている。 「港に入って来たフェン○ニルの材料の密輸は、佐波一家がなんとか、食い止めたんだろ?」 「いや、まだ、法の目をかいくぐって入って来てるそうですよ。沖縄あたりから薬中が出てます」 「中国でも,ゾンビ薬物が広がってるそうじゃねえか。」 「チャイマのガキは命知らずですから、気をつけないと。」 「この前、中国のコンテナに自動小銃が数百丁、入ってたんだろ?」 「ヤバい事になってますね。」 「ウチの組員にもチャカ持たせましょうか?」 「馬鹿だね。警察に捕まって、申し開き出来なくなるよ。銃刀法違反、だ。」 「陸さんみたいに空手で鍛えましょうか?」  他に身を守る術がない。法を遵守するのは命がけだ。ケツ持ちも命がけだ。 「中国人は人数が多いからか、 人の命が軽いなぁ。」

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