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第93話 徹司と美咲ちゃん

 徹司と美咲ちゃんが遊びに来た。美咲ちゃんのお腹は大きくなって来た。 「わあ、すごい。この中にはベビーがいるんだ。」 「動くんだよ。触ってみて。」  おっかなびっくり触ると少し動いた気がする。 零士はマックスを抱いて眺めている。 「零士、すごいよ。動いてる。生きてるんだ。」 「ああ、すごいな。人間を生み出すんだから。」 「ねえ、どっち?男?女?」 「徹司が生まれるまで聞かないっていうの。 楽しみにとっておこう、って。」 「じゃあベビー服、何色にする?」 「黄色かな?どっちでも使えるし。」 「楽しみだね。」 「ワオーン」 マックスも楽しみだって。 「はい、新婚旅行のおみやげ。」 「どこ、行ったんだっけ?」 「妊娠中だから、遠くに行けなくて、草津温泉。」 「それで、温泉まんじゅうか。」 「ベタでしょう!」 「草津の湯は身体にいいんだって。安産。」 「うん、このお腹の子は、ゆで坊ってニックネームが付いたよ。」 「あはっ、ゆで坊、いいねぇ。」  幸せそうな徹司と美咲ちゃんが羨ましかった。 マックスの首に抱きついて 「俺にはマックスがいるもんね。」 「そう、ウチの大切な長男だ。」 「クゥーン」 返事をしている。  徹司が、 「おまえら、まだ、ホストやってんのか?」 「他に仕事ないから。」 「俺は他にも出来ること無いから。 零士はファンがすごいんだ。辞められないな。」 「なんか、俺、おまえたち見てると切ないよ。」 「徹ちゃん、失礼だよ。」 「あ、そうだな。人生は短いんだ。 好きな人と好きな事をやればいいさ。」 「帰るね。お邪魔しました。 バイバイマックス。」  徹司と美咲ちゃんが帰って行った。 「幸せそうだね、徹ちゃんたち。」  零士がそばに来て優しく草太を抱いてくれた。 「キスしたい。」  零士がキスをする。柔らかな唇が気持ちいい。 優しくキス。思わず夢中になる。 「草太は寂しくない?」 「どうして?」

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