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第94話 陸
陸が撃たれた。チャイマのチンピラだ。
「何やってんだ!」
救急車が来た。急いで病院へ運ばれた。
駆けつけたT会の組員と零士と草太。
「なんで?何があったの?」
いきなり入って来て、
「まだ、営業前ですよ。
8時からです。予約しますか?」
聞いた受付の黒服と、陸が撃たれた。
「なんか,中国語で喚いて、いきなりチャカ向けやがった。」
この頃やけに中国語を喋る人間がうろついていた。
「かしらが、気を付けろ、って言ってたんです。
でも,いきなり店に入ってきて、ぶっ放すとは思っていなくて。」
零士は震える草太を抱いて家に帰って来た。
現場を目撃したわけではないから、店で待機する要請もなかった。
店は臨時休業だ。帰って来てからは、マックスに抱きついたままの草太が心配だ。
「ねえ、あんな物騒な店は辞めようよ。
零士が撃たれたら、と思うと怖いよ。」
(俺は陸の安否が気になる。死んでないよな。)
近頃不穏な空気があった。態度の悪い中国人の客が増えた。中国語で喚き散らすので店の空気が悪い。黒服が何度も注意していたが、逆恨み、か?
早速、T会の幹部会が招集された。
「警察はなにやってんですかね。
ぬるいんだよ。もっと職質頻繁にやって、チャカ持ってんの取り締まってくれよ。」
「今、代行が、チャイマの李に話し付けに行ってっから。」
そこに代行についていた、舎弟頭が駆け込んできた。肩から血を流している。
「代行が撃たれた。数人で囲まれて蜂の巣にされた。即死だろう。」
ザザッとみんな立ち上がった。
「兵隊集めろ!チャカに慣れた奴、な。」
誰かが助っ人に、佐波一家に連絡した。
「抗争が始まる。
命の惜しい奴は今のうちに帰れ。無理するな!
人死にが出るぞ。」
若いもんたちが腹にサラシを巻いてチャカを突っ込んだ。上着を着て
「いつでも、死ぬ用意は出来ました。」
「おうっ!」
「チャイマの本部は新宿だな。」
「今、佐波一家の若松さんが、装甲車寄越すって言うから、みんな盃回せ。」
酒を注いでみんな回してお互いに飲み干した。
「死ぬ準備は出来ている。」
畳に長ドスを突き立てた。
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